Blankey Jet City/幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする

4th

1.円を描く時 ★★★☆
照井さん作曲。トランペットをフィーチャーしたアダルトでジャジーなロック。しかし歌詞は血も涙もないです。
海賊が皆殺しにしろと叫んだとか、進んだ奴がやってきて僕の腰に腕を巻きつけたとか。
前作のラストトラックの『悪いひとたち』の世界を引きずってるところがあるなと勝手に感じてしまいました。

2.親愛なる母へ ★★
アコギと目立ちに目立ったパーカッションがメインといってもいい、あっさり淡白とした親孝行ナンバー。
といってもヒップホップにありがちなヨーヨーマジ感謝ってわけではなく、母親は白黒の写真の中らしいのでよくわかりませんが既に死んでおり、主人公もそっちにいくか思いわずらってるみたいです。だとしたら孝行でもなんでもねえ。
改めてロックバンドで親を題材にしてる曲は?と問われれば、この曲とイエモンのファーザーくらいしか知らないや。

3.風になるまで ★★★★
旅立ちの歌で春風駘蕩な感じなのですが、季節は夏です。
ああ、アコースティックな癒し系ギターが包み込むううううう。うらうらとした朝に聴いて風になりたい。
それから徐々に主張強くなるストリングスとか地味に凝ってるよ。
「誰からも愛されずに 知らない世界の中へ」「キスしてくれないか 僕のこのナイフに」
とか弧男には泣けます。

4.カモメ ★★★
久々にエレキギターが入ってきたのですが質素。侘びしいといった方が正しいか。ギターソロなんかもあるんですけどね。
サビでは「お前の母親は船に揺られて知らない国へと消え」「お前の父親は砂漠の果てで汗にまみれて働く」
そんなえげつない光景をカモメが上から飛んで眺めているように息苦しく盛り上がります。

5.嘆きの白 ★★
前作のテンション高い曲をこのアルバムのジャジーなカラーに染め上げた感じ。あんまり好きじゃないっす。

6.螺旋階段 ★★★
楽曲も詩もハードボイルドです。
煙草吸ってるようなクールでジャジーなギターとロカビリーなベースがかっちょいいんですが、全体としては相変わらず淡々とした楽器隊。
そこに何だか村上龍な世界の詩。
ブランキージェットシティという街の外れの退廃した様子が垣間見える一曲です。

7.小さなガラスの空 ★★★
久々にアップテンポの曲。
秋っぽいですがクリスマスソングです。
儚くも優しいボーカルとギター、跳ねるベースが言われてみればメリクリ。
そんな曲ですが「神様は黒い肌をしている」とか、だけど裏側には何かある気もする!(チバユウスケ風に

8.幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする ★★★★☆
タイトルトラック。
久々にトランペット?サックス?が登場、1曲目以上にジャズがロックに溶け込んでいるのですが、曲中一貫として張り詰めた緊迫感が流れ、そこでベンジーの持つシニカルな側面が爆発。
ピリピリしたギターソロ後の社会風刺の畳みかけは嫌でも耳をひきます。が、それ以上に自虐的といってもいい、自分に対する皮肉がいいですね。
「誰か僕を傷つけてくれないか 二度と立ち直れないほど強く」
ブランキーの詞の中で一番好きなワンフレーズかも。

9.砂漠 ★★
ベースがぐいぐい引っ張っていく渇いたロック。怪しいアコギのソロが砂漠の蜃気楼ですね。
最後プログレっぽく入るレッドツェッペリン的(勝手なイメージ)ハードロックなパートが全部持っていきますが。

10.青い花 ★★★
赤いタンバリンダンデライオンより純粋ポップなんじゃないでしょうか。「風になるまで」の続きっぽく、風を感じながらも縦ノリに。
詩はほのぼの系に見えてかなりいい事歌ってます。

総評
個人的に、落ち着いているときというか鬱気味のときに聴くと、2ndや3rdを差し置きブランキーNo.1に輝いてしまうアルバム。
ジャケットでメンバー女装してるしヴィジュアル系好きな方にもおすすめ?