La’cryma Christi/Sculpture of Time

1st

1.Night Flight ★★★★
夕映えの空へとゆっくり飛翔していく飛行機の窓から、Vo.TAKA が白い歯を見せにこやかに手を振っている情景が浮かぶ、柔らかな耳触りのオープニングナンバー
サンセットタイムのリゾートビーチで生演奏してくれているかのような、並外れた表現力と技術でウォーミングな音を奏でる楽器隊。おかげで空へ向かうTAKAを、デッキチェアで優雅にくつろぎながら見送っているようなリッチな気分に浸れます。
さて、名残惜しいが我々もそろそろ腰を上げ、La’cryma Christiという名の飛行機に乗り込み彼の後を追いかけるとしよう。
しかもブックオフで250円出すだけで、この旅行のチケットは手に入っちまうんだから破格の値段っすよ。

2.南国 ★★★★
照りつけるまぶしい日差しのようなイントロで、我々は「南国」に到着したことを知る。
南国といっても、夏だ!海だ!ラクリマだ!みたいなはっちゃけた曲調ではなく、島を彩る艶やかな自然を写生したように、なだらかで麗しい曲調。この楽器隊の圧倒的情景描写力よ。 別に曲名や詩がなくても、椰子の木やエメラルドブルーの海が脳内に浮かんでくるよ。これぞトロピカルロック。
ボーカルも、TAKAがビーチではしゃぐ連添いの愛人をクールに見つめているかのようにナルシスティックだけど落ち着いた感じでキメてきます。でもサビになると我慢しきれなくなったTAKAが裸になって海へ飛び込むかのように爽快ポップに。シングル曲らしくて悪くないよ。

3.Sanskrit Shower ★★★★★
当初、ただでさえ楽器隊を塗りつぶしてしまうほどの強烈な声質なのに、それに加えて、どうしても曲に間延びする印象を与えるねっとりとナルった歌唱を披露するボーカルのせいで、ダレる捨て曲というのが第一印象でした。
そこでそんな21st century narcissitic boy・TAKAの、癖があるだとかハイトーンだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえもっと気持ち悪いものの片鱗を味わってしまう歌声を、頑張って無視することに決めたのです。
その途端、洒落た渋っ気を醸すムーディーなベース&左手のギター、それから、右手でボサノヴァ調のメロディラインを奏でる甘美なギターの調べが乗じ合い、至高の重奏が聴こえてくるではないか! まるで南の島で、巨乳のお姉さんがおっぱいをちょいちょい当てつつマッサージしてくているかのような快さ。
しかしリラクゼーションしている聴者に、「Sanskrit Shower」、日本語で言うところの「通り雨」が訪れる。
まずは大小様々な雨粒のような繊細さを持ちつつ、雨脚を操るかのように曲調、拍子、リズムを目まぐるしく変えながら弾き倒される間奏。特にギターソロはテクも情緒も溢れ出して、TAKAという濃過ぎる存在に隠れがちなギタリスト、HIROさんの恐ろしいまでのセンスを思い知ったよ。
ということで個人的ヴィジュアル系ギターソロがすごいよランキングで堂々の1位とさせていただきます。
そしてラストは曲の趣向を保ちつつ、鮮やかにハードな展開へ。
今までキモいと耳から拒み続けてきたボーカルですが、本人の声質や性格に似合わず「ナッシンペン!ナッシンペン!」と一生懸命ハードさを演出しようとするその姿に心打たれた。
そんな降り注ぐ荒れた夕立が過ぎ去っていくかのように静かにフェードアウト。
はい。
お見事としか言いようがない。これがラクリマ史上最強の曲に違いない!
しかしラクリマを聴き込んで、TAKAの声が「気持ち悪い」から「味があるな」と耳が意見を改めた今も、この曲に限ってはボーカルいらんインストでやれと思うことがままある。
この曲をシングルにしてくれたら、カラオケバージョンがカップリングに入ってTAKAありなし両方を気分に応じて楽しめたのに。

4.Ivory trees ★★★★
「かわいた街の中でいた 独りで歩いてた」との歌い出しの割には、瑞々しい街をTAKAが大股で闊歩するようなポップさがあるアッパーなシングル曲。
......ダメだ前の曲で色々ごちゃごちゃ書きすぎて疲れちゃったよ
無論、ただのポップスには収まらず.......みたいな月並みな解説になっちゃうんだろうけどそのうち感想書き直します!

5.Angolmois ★★★★★
どこか70'sUKロック臭がかほる、ブルージーな色気を見せる左手のギターが最高にいぶし銀な大作ハードロック。それにアコースティックな音色で、更なる哀愁とオールディーな雰囲気を添えるもう片方のギターもグッジョブ。
適当に言うならヴィジュアル系ミーツレッドツェッペリン。アルバムの中でも、浮いてるとまではいきませんが、ぽつり、厳とした存在感を放ってます。
ボーカルも「クローン人間をテーマにしました(キリッ」とかいう詩は別にどうでもいいけど、大人のバーで一杯傾けてるような雰囲気の気怠さが曲とマッチしててケチのつけようがない。
スローな曲調の上に6分もあるけど、言うまでもなくあっという間です。
ラクリマで好きな曲何?って聞かれたときに、これ褒めときゃ音楽通ぶれそうなので★+1。......い、いやそんな冗談抜きにしても、本当に「Sanskrit Shower」に次ぐ名曲だと思いますよ? 本当だよ?

6.Letters ★★
ミニアルバムに入ってた「Forest」からヴィジュアル系式憂いの美学を取っ払い、明るさだけを前に出してみたよ的プログレシッシブゆったりポップス
途中三拍子になって踊りたくなるところまで「Forest」と一緒だよ。ボーカルも「踊ろうよん♪」とか誘ってくるし。
悪くないけど「Forest」を聞いちゃった後だと、劣化劣化劣化ァ!とまでは言いませんが、ヴィジュアル系なんだからヴィジュヴィジュしたままでいろよと言いたくなるので★-1

7.偏西風 ★★★★
上記のヴィジュアル系式憂いの美学を多いに見せつけた陰気臭いけど美しいハイトーンボーカル。
加えて、もはや「ヴィジュアル系式」なんて言葉をつけてしまったらバチが当たりそうな、神々しいまでの憂いの美学が炸裂したアルペジオと、変拍子を織り交ぜた緻密かつハードなリフとの交錯。
この二つがユニゾンするラストなんてマジ偏西風。偏西風って未だにどんな風のことかよくわからないけどガチ偏西風。コリオリの力ってLa’cryma Christiがこの曲を奏でるときに起きる力のことだったんだな。
とりあえずプログレシッシブバンドがラストの展開に持ってくる、楽器から溢れ出した情緒、哀愁が九天の高みまで押し上げられたような荘厳な展開にただただ圧倒されたわ。
うむ、ギター以外のリズムセクションもむむむと唸っちゃう変則的な動きだし、まとめるとヴィジュアル系ファンもTDNロックファンも感動できるプログレシッシブ歌謡曲じゃ。「素肌のまま抱き合おう(シリアスッ)」なんて歌うボーカルに、口元が歪まざるを得ないけどそれを抜きにしても名曲だよ。
カップリング曲なのに、アルバム、その上ベストにまで収録されるというシングル曲並のプッシュのされよう。1人でも多くの人に聴かせたいらしい、ラクリマメンバーも一押しのナンバー。

8.ねむり薬 ★
ピックが弦に触れ一音が奏でられた刹那に、静謐な霧が立ち込め夢幻のカーテンが光を包むも、暗闇のキャンパスに暖色の絵の具をぽつりぽつりと落としていくかのように、新たな色彩が蕪雑ながら仔細に潤色されていく。
色艶が堆積され構築された、もの柔らかなヴァースは"ねむり薬”、畢竟、既にこの時点で現実との乖離を果たし、何人も無意志に朝を待つ間の陶酔へコンタクトを果たす。
既に一般的なロックのアトモスフィアではない。これは音楽なのか?はたまた絵画であるのか? .......そもそも芸術なのか?頭が混乱する。.......いやこれはキリストの涙"La’cryma Christi"だ。
前述のヴァースで既に点睛は与えられているが、続くブリッジ...コーラス...La’cryma Christiはさらに奏で、告げる。
世で試行錯誤し、新たな、斬新な、または自己を表現せんとする音を必死に追い求める音楽家達に告げる。 

もういいのだ。休めよ。眠れよ。

人々が言うところの"音楽"は、驚くべきことにこの "ねむり薬"で1997年に一度ピリオドが打たれていたのである。
ただ、多くの聴者がマンネリズムを感じてしまうのも無理はないことだろう。まさにリスナーの資質が問われる一曲であるとでも書くと思ったかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
何この曲、マジダレる糞曲だな。8分!? はいはい大作大作高尚高尚。きめえボーカルで眠くもならねえよ。詩もなーにが「あなたの肌に会いたいよ」だ。気持ち悪い。オブラートに包んでるせどつまりはおセックスしたいってことだろ? かっこつけてんじゃねーよ。冗談は髪型だけにしてくれ
最初「相変わらず楽器隊テクニカルだし、何か褒めないといけない雰囲気あるし、これを糞と言いきっちゃったらセンスないと思われそうだな......適当に褒めて無難に★★★くらいつけとくか」と思って長々と書いてきたけどもうやめだ扇子なんて糞食らえだ!糞!糞!糞!糞!糞!糞!糞!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ブボホブボボボボボブリュリュリュリュリュブリュリュリュリュリュリュリュ!!!!!!

9.THE SCENT ★★★★
「偏西風」の暗さからは対極に位置し、心地よい南風になびかれるような、明るめシャレオツスタイリッシュ快走ナンバー。そんな風を感じるギターに改めて脱帽。
そしてヴィジュアル系式憂いの美学とは言わないまでも、何処か切ない趣があるのは何故だろうか。
それは「北へ向かう 船の窓辺にもたれて 海を見続けていた」と、我々が「南国」からの帰途にあることを、TAKAが教えてくれたことで初めて気づくことができる。
そうか、名残惜しいけどそろそろこのアルバムにお別れを告げなければならないんだね。通りで爽やかなのに切ないわけだ。
しかし、シングルをリリースした当時、この曲がアルバムのエンドロールになるということを一体何人のリスナーが気づいていたのだろうか。
なるほど、Wikiで調べたらリリース順も「THE SCENT」→「南国」の順みたいだしわかり辛くしてやがる。
発売後、十数年を経て「俺たちのシングルはただの売れ線曲じゃない。アルバムのピースとしてしっかりハマるんだ」とラクリマのメンバー達の声が聞こえてくる......!
でも何だかTAKAが「計画通り」と夜神月風にニヤニヤしてるのが頭に浮かんできてムカつくので★-1

10.Blueberry Rain ★★★★
三部作Rainシリーズの第二段。
AメロBメロサビというよりは、旅行から帰宅したTAKAが全裸で窓辺に立ち、夜景を眺めつつ旅の思い出を振り返るかのように、1〜3曲目のように異国情緒漂うパート、6曲目のような70’sロケンローらしいギターフレーズが冴えた渋味あるパートを、鮮やかにリズムチェンジしながら移行していくと言ったほうが正しい、ラクリマらしいプログレシッシブな〆曲。
最後は歯切れのいいミドルテンポだったのが、8曲目ののうなスローテンポになってTAKAの素肌に優しく抱かれるような浄化ENDを迎えます。ついでに「Night Flightへ行こうよ」と、また一曲目から聴けよと暗に促してきますが流石に疲れた。

総評 ★★★★☆
何度も言いますが、やはり楽器隊の圧倒的情景描写力!
微に入り細に入り作り込まれたフレーズが、まるで風のおもくままにとでも言うべき自然さを持って、円転滑脱に、流麗に、曲調やリズムを変化させ、天候の移ろいやすい南の島の風景を構築して行く.......。仮にインストルメンタルだけでも、それぞれの楽曲が持つ世界が「Sculpture of time」の流れる部屋の中に現出され、瑞々しい南国の香りが漂ってくると思います!
それを他の楽器や機器を使わず、あくまで2本のギター、ベース、ドラムの4つだけでやってるというのだからびっくりぽんや。
もちろん、賛否両論ありつつも、それに華を添えるTAKAのハイトーンボーカルも注目だよ。
とにかくヴィジュアル系に限らず、他ジャンルのバンドでも容易に真似できるもんじゃないでしょう。加えて強力なタイアップもなしに大衆性を掴んだんだから、今後の邦楽界で、このような特異な独自性を保ったプログレシッシブサウンドかつ、10万近い売上なんてのは不可能とも言っていいんじゃないでしょうか。
やっぱりさ、「マニアックなことしてるから売れないんだ!」ってのは、
” 甘え ”
だよね。このアルバムリリース当時のCD馬鹿売れバブル考慮に入れてもさ。
え? TAKAがイケメンすぎる? 顔で売れた? 馬鹿野郎。
お生憎様、そ............そ、それは確かに一理あるかも知れないが、悔しかったらそこらへんのプログレバンドよ。歌の上手いイケメンでも美人でも雇って、尚且つこの作品並の完成度のアルバムを持って来やがれ! 話はそれからだ。
橋本環奈ちゃんがボーカルで握手券もつけてくれれば歌が下手くそでも買うからよろしく頼む。

ザアザア/死にたい

3rdミニアルバム

1.もうすぐ雨が振るから ★★
前面に出たベースラインで重さを打ち出し、それにクリーントーンの鬱々しいギターフレーズを散りばめ、なるほど雨が振る前のじめじめ鬱屈した空気ってわけですね
さらにハードなBメロ挟んだりして †痛み† を表現しつつも、基本的にはキャッチーなダウナー歌謡曲
にしてもこのボーカル......ムムムムック?
声質といい、詩の節々に入るネガティヴなセリフといい、シャウトというより咆哮と言える叫びといい、ボーカルスタイルが完全にムックの人(ごめんなさい名前忘れちった)じゃないですか!ついでに曲も!
今まで沢山いそうでいなかったムックフォロワー、新鮮です。でもぼく曲云々ではなく個人的嗜好の問題で、あまりムック好きじゃないんですよね

2.死にたい ★
ダウナーな疾走パンクサウンドにのせて、死にたい死にたいとひたすらタイトル連呼するナンバー
密室系バンドの伝統芸(創始者はしねしね団らしい)ですが、最近はこういう曲ですらサビでキャッチーになるんか〜い
割と深刻な詩や語りですが、結局女子高生の「あ〜鬱だ〜死にたい」レベルの「死にたい」の域を出ていないと思うので、コミックソングにもならなければ鬱ソングにもならないという中途半端な仕上がり。

3.不感症 ★★
ゴシックかつラウドなヴィジュアル系ワルツ
ころころリズムチェンジして疾走ロックになってみたり、ちょい高度な音楽性を出してみたぜ。よろしくな。的ポジションの曲
最後の雄叫びとか絶望感が伝わってくるけど、それ以上にムック感のほうが伝わってきますぞwwwwwwwwんんwwwwwww

4.拝啓、あなたへ ★★
風刺的な詩を乗せ、oi! oi! 叫びながら割とハードなパンクやってたかと思うと、サビでオー↑オー↑オー↑オー↑とド直球の青春パンクに
校庭で演奏するPVとか作ってるに2ペソ
あっれれ〜、おっかしいぞぉ〜? おじさん達「腹黒くて金が好き」とか歌ってるくせに来年出す予定のシングル複数売りじゃ〜ん(ニヤニヤ
1500円で5曲のスピリッツは何処へ行ったのか、ぼくのように腹黒くて金が好きな連中の仲間入り果たしてますよ

5.闇 ★★
いかにもな泣かせ系ピアノとシンセが入って、はいはいラスト曲ラスト曲なメロディアス疾走歌謡
こういう曲はファンでもないと、へーいい曲じゃん。それよりさつまいもの天ぷらをおかずに白いご飯ってキツくね。と鼻ほじりながら聴いて終わる

総評 ★★
ムックの初期音源だよと言われて渡されたら多分納得しちゃうほどムック。
曲は好きではないが嫌いでもないけど、それ以上に共感できんだろ!共感できんだろ!と叫びが聞こえてくる、あざとい絶望の押し付けが生理的に無理でした
帯で「ザアザアの世界には中毒性がございます 用法・用量を〜」云々謳ってるのに全部ヴィジュアル系にありがちな曲調なのも気に食わん
それでも来年のベストアルバムは買ってしまうと思うので、我がコレクターオタク気質を恨む
でもムック好きな人にはおすすめです!

Laputa/眩めく廃人

1stミニアルバム

1. 泥〜IN BOG…IN WORST〜 ★★
まどろみの中にいるような心地良いSEに身を委ねていると...

「目覚めよ我が体内に眠る廃人よ」

これを中学生に聞かせてしまった場合、一体何人の邪気眼が発動してしまうのか、文部科学省のほうで是非とも統計を取って欲しいものである
それはおいといて、楽曲自体はおそらくVo.akiが泥水の中にコンタクトレンズを落としてしまったときの心境をそのまま歌に込めたミディアムテンポの発狂チューン
泥の中を探せば探すほどほど水は濁り、コンタクトレンズまでタドリツカナイ!!タドリツカナイ!! ミツケラレナイ!!ミツケラレナイ!!
悲しみをハイトーンシャウトでひたすら叫び散らし、全身泥塗れになりながらも必死に探し続けるaki。
しかし悲しいかな、結局コンタクトレンズは見つからず、ついに彼は泥濘の中でインバッ!インバッ!っと意味不明のことを供述するだけの廃人となってしまう。他のメンバーがその四肢を悲しげに運び去っていくかのように、曲は静かにフェードアウト

2. Insatiable ★★★
1stからの再録
邪悪に歪めたハードロック風リフが唸りを上げ続ける、ミディアムテンポの名古屋系ロック
何よりB...L...I...SS...の文字をなぞる謎のカウントダウン式ボーカルが、嫌でも脳内にこびりつく。そう、例えるならこの曲は、ヴィジュアル系界においては一般ポップス界における「Y.M.C.A.」に位置する曲なのだ。
しかし再録前と比べると不満な点が多い。
キンキンに歪んだ害音リフが大分おとなしめに抑えられたてり、
セリフ「毒を持って毒を制す」の台詞が丸々削除されてたり、
ビー...エル...アイ...エスエス(廃人風)→最後にはビィ゛...エ゛ル゛...ア゛イ゛...エ゛ス゛エ゛ス゛(吐血風)というメフィストフェレスの所行をなぞるにも等しい展開が若干わかり辛くなってたり、
と、中途半端に分別を身につけたのか落ち着いた再録で気に食わない
こっちもこっちでかっこいいんだけど様式美と中学二年性は再録前のほうが遥かに上なので1stも買おう!

3. an eternity ★★★★
全編サビとも言っていい、ただでさえハイトーンな声質のボーカルが転調しながらメロディアスに夜風をきり駆け抜けて行く!
お父さん!お父さん!Laputaが僕を苦しめる!と、そう、例えるならこの曲は、ヴィジュアル系界においては一般クラシック界における「魔王」に位置する曲なのだ
あと少し...あと少し違えばこの曲は天使のような白い羽を舞い散らして疾走する美麗白系ナンバーになっていたに違いない
だが通り過ぎていったのは一陣の闇...Laputaは堕天する道を選んだのである...
ファラーウェイッ(ファサァッ、と最初は美しく艶のあったボーカルも、曲が終わる頃にはフ゛ァ゛ラ゛ァ゛ウ゛ェイ゛ッ!!と発狂。
ヴィジュアル系よ、これが真の「狂気」だ
安易に単調マイナー調ヘヴィリフにシャウトデスヴォイスで狂気演出する最近の有象無象のバンドはこの楽曲を666回聴いて出直してきて欲しい

4. Vertigo ★★★★★
1stからの再録
Laputaの同期バンドのROUAGEに白い闇という楽曲があります。確かにあれも名曲だけど曲自体は普通に真っ白、真に白い闇とは「an eternity」やこの楽曲のことをいうのだよ
硝子細工のように繊細で透明ながら、やり所のない苦しみを訴えるボーカル。さらにギターは今までも度々見せ、いや魅せてきた、病的な美しさを持つ蠱惑のアルペジオを惜しげもなく披露。ここにあるのは一本のギターのはずなのに聴覚が歪んで二本に聞こえてしまう。すなわちVertigo。眩暈(めまい)。
例え聴者が健康な状態にあったとしても、この楽曲に身を晒せれば、まず手始めに視界は歪み始め、次第に身体はぐにゃりと力を失い、6分の後には既に廃人と化してしまっているであろう
この一曲でして退廃美、デカダンを極めつくしてしまい、もはや音楽というよりは「眩暈」という概念に近いですね

5. 奈落の底 ★★★★★
超単純なコード進行、それでいてヴィジュアル系最凶のリフという、
そう、例えるならこの曲は、ヴィジュアル系界においては一般ロック史におけるSmoke on the Waterに位置する曲なのだ。
その凶悪リフと、キャッチーながらも要所で発狂シャウトすることは忘れないボーカルがファストテンポでひたすら畳み掛け、我々は天空の城Laputaから深淵へと落下していく。
後半のオチル..オチル......オチル...........ウォッオヂルヴヴヴヴヴ!!!!!!!!の叫びなんて、その後のギターソロを完全に食っちゃってるよ
そして終わったかと思えば1曲目のSEが流れ始め......、これならリピート再生させとけばゆりかごから墓場まで聞き続けられるよ!やったねたえちゃん!

総評 ★★★★
このミニアルバム一枚にヴィジュアル系とは何ぞやかが凝縮されていると言っても過言ではない一枚
こういう楽曲って時を経て改めて聴くと稚拙と一蹴してしまうか、腹を抱えて笑ってしまうことがほとんどなのですが、おそらくこの「眩めく廃人」は70歳の爺さんになってから聴いても、我が体内に眠る中学二年性を呼び戻してヘッドバンキングさせるに違いないでしょう

Janne Da Arc/SINGLES

ベスト

Disc1

1.RED ZONE ★★★☆
初っぱなから演奏陣がハードでメタリックな重低音でゴリゴリ押し寄せてきてその重厚さに胸焼けしそう。ジャパメタ炸裂ヘヴィリフとパワフルなドラムでボーカルが入る前から畳み掛けられました
こ、これ本当にエイベックスでのメジャーデビュー曲なんすか...?エイベックスどころかメジャーな様相すらほとんど見せてないヘヴィメタルじゃないっすか(ガチ震え声)
ボーカルが入ってきても、声質はイケメン体操のお兄さんみたいな感じで取っつきやすいんですが、媚び一つ、ポップさは一つくらい見せるものの暑苦しい熱唱で全く隙がない
ジャパメタ独特の古臭さがあって個人的にはあんま好きじゃないんですが、そもそもエイベックス系バンドでそんなもんがあること自体異常っすよ
「ジャンヌとABCはカラオケで歌うとキャバクラの女の子の受けいいぞモテるぞ」と友人に言われて、そんな機会はないけど何となくにやにやしながらベストに手を出したぼくに怒りの鉄槌をくだすハードチューン

2.Lunatic Gate ★★★★
サウンドだけならやはり恐ろしく重く分厚いミドルテンポのジャパニーズヘヴィメタル
でもこっちはボーカルにクサメタルやアニソン風味のメロディアスさがあって前の曲より断然聴きやすい。
ゴリゴリ行進するようなリフを刻んでたギターも、ソロになるとヘヴィメタの範囲内に収まる程度の適度にメロスピ風ピロピロを披露してて、重さと哀愁さが柿Pの種とピーナッツばりの黄金比率で形成されてる
それから前の曲といい、日頃のストレスをここぞとばかりに発散させてるかのようにバゴスコいわせてるこのドラム。普段ドラムなんて耳に入らないぼくのJ-POP耳にも無理矢理踏み込んでくるあたりやっぱジャンヌはメタルバンドっすねえ
何てったってタイトルが† Lunatic Gate †ですからね。この化石ヴィジュアル系でもつけないようなタイトルセンスからしてぼくはやってくれると信じてた。流石ヴィジュアル系の最終兵器!

3.EDEN 〜君がいない〜 ★★★★★
白い羽が舞い散るようなスローバラード風で幕に開けたかと思えば、いきなりバンドサウンド全開のサビで始まるという、わかる人ぞわかるヴィジュアル系の超古典的展開をなぞった神曲
もちろんそんな古き良きしきたりなんぞ知らなくても、このボーカルのyasuと一緒に駆け出したくなるような躍動感がすごいサビでエイベックスボーイズ&ガールズのハートも掴むこと間違いなし
ようやくぼくがジャンヌのイメージに当てはめていたポップさが出てきました
そんなぽっぴんじゃんぷなサビももちろんいいんですが、やっぱりこの曲全体に漂う白系ヴィジュアル系ともいっていいくらいの驚きの白さが素晴らしい
ギターソロなんてラルクを彷彿とさせる耽美さと繊細さで、今までの男臭いジャパメタスピリッツはどこへ行ったのか、サナトリウムの病弱少女のような儚さですよ
Stranger(このアルバムには未収録)みたいに技術でブイブイ言わせるだけじゃなく、ムード作りもアリエールでしょとyouさんが主張した一曲

4.Heaven's Place (Single Edit From"D・N・A") ★★★
前の曲の世界観を引き継いだ心暖まる白系バラード
異国情緒通り越して天国情緒なギターだったり、鐘っぽい音色のキーボードだったり、lalalalalaのコーラスだったり、もうJanne Da Arcのメンバーがぽこちん出したエンジェルとなって全力でヘヴンを奏でてます
アルバムで聴いたときはいい曲だけど7分とかタルすぎィ!3分でまとめろやと停止ボタン押すこともままあったけど、このシングル集で前の曲と合わせて聴くと、世界観にあった素晴らしいバラードだなぁと心ぽかぽかいつまでも曲にひたっていたくなるから曲順って大事だわ(もちろんD・N・Aの世界観も素晴らしいですし、音楽通の方はこのシングル集なんかよりそっちをお勧めします)。

5.will 〜地図にない場所〜 ★★
同じバラードでもこっちはちょい暗めってくらいであとは普通のJバラード
力強いボーカルは好きだしサビもフックはあるんだけど、切ないだろ!切ないだろ!と後ろでドヤってるやかましい壮大シンセがあざとくて嫌い
でもSOPHIAとかが内省的でちょい哲学的な詩つけて歌ってたら間違いなく★★★★★とかつけてたと思うしやっぱ詩って大事だわ(恋や愛を馬鹿にして来たぼくなのでジャンヌダルクファンの皆さん許してください!)。

6.Mysterious ★★★
タイトル通りミステリアスを醸し出すキーボードがかっこよく、これなら金田一少年の事件簿の主題歌にもなりそう
というわけで同アニメ主題歌のLaputaのmeet againをメタルアレンジしてやったぜ感がある楽曲
メロスピの如くギターをピロピロいわせてたり、ツーバスが爆走してたり相変わらずメタルバンド・ジャンヌダルクを炸裂させてるんですが、もっと簡易な演奏でよりミステリと艶めかしさを魅せてるLaputaのほうがかっこいいから雰囲気って大事だわ(注:個人の好みです。ぼくのことは嫌いになってもLaputaのことは嫌いにならないでください!)。

7.Dry? ★
勘違い男ありがち「今回は女性の気持ちになってみました(o^ ^o)」的気持ち悪い詩が、そこそこかっこいい楽器隊を台無しにしてるシャッフル調のロック
しかも「全てを濡らして」だと「イカせて!すぐイカせて!」だの「乾いてるのはそっちじゃない」だの欲求不満な女性の気持ちっすよ。勘違い通り越して無限の彼方に飛び立ってるわ
こんなんカラオケで歌ったらドン引き確実カカオリッチココアぶん投げられるレベルな気がするんですけど本当にモテるんですか? キムタクや福山雅治でも許されないと思います
ウッフ〜ンとか言いながらくねくねしてる後期河村隆一なら許される

8.NEO VENUS ★★★★☆
クールで淡々としたボーカル&演奏なんだけど物凄くポップというアイスリーム天ぷらみたいな摩訶不思議な曲
キーボードの人が作曲しただけあって、もちろんキーボードが水際立ってます
特にBメロのタイアップ元のロックマンエグゼ的電脳感漂う音色&フレーズに謎の中毒性が。合わせてヘヴィながらも軽快に刻まれるギターとの絡まり合いっぷりは、冷静なロックマンと熱い熱斗君の関係を表しているに違いない
加えてそのギターとキーボードがユニゾンするソロなんてマジソウルユニゾン!フルシンクロじゃないっすか!最高!
もうロックマンエグゼ愛に満ちた最高の曲ですね(実際はファンに向けての感謝の気持ちが込められた曲だそうです)。
しかしエグゼ1から6まで全部やり込んだぼくでもこの曲の存在は知らなかったっす。ていうかエグゼのサントラ再販してくださいお願いします

9.seed ★★★
ここからの3曲は恋愛3部作という設定なようで、その始まりを告げる片思い&口説きナンバー
ボーカルのyasuがリスペクトしてるというL'Arc〜en〜Ciel。そのラルク屈指の片思いナンバー「flower」は顔が青白い文学青年のウェルテル式憂鬱を見事に表現し、触れたら壊れてしまいそうな儚い雰囲気だったのに対し、この「seed」は計算高い女に慣れたチャラ男が主人公らしく、だいぶオラついてて既に賢者モードの如く乾いた雰囲気
こんなんヴィジュアル系じゃなくてホストだ!と思ったけど、こっちを聴いたほうがモテる男になれそうな気がするのでこの曲を聴きながらキャバクラに突撃してこようかと思います
ストーリー仕立ての詩が重視されてるようで、演奏はそこそこハードながらもボーカルをひきたてるためかジャンヌにしては控えめ
ちなみにこの曲からラルクのプロデューサーで有名な岡野ハジメさんがプロデュースしてるみたいです

10.シルビア ★★★★★
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛甘ずっぱいんじゃあああああああああああああああと涙を流して叫びたくなる、青春の1ページを切り取ったように爽やかでまぶしいシンフォニックメロディクスピードポップメタル
い、いかん......こんなもう爽やかって言葉じゃ足りないくらいの光を浴びちまったら、陰湿根暗なぼくは浄化され最後には素粒子まで分解され消滅してしまう
もうイントロからしてデート前の高揚感、胸の高なりが伝わってくるよ(デートをしたことがあるとは言ってない)
サビになるとタイトルコールからこれでもかってくらいの超高音ファルセットを披露するのですが、これが隣で笑顔を見せる女の子への抑えきれようのない純真な愛のほとばしり!って感じでもうたまらんね!(もう一度言う、デートをしたことがあるとは言ってない)
それから「恋や愛を馬鹿にしてきた僕だから」って詩がボラギノールよりぶっ刺さる
ボーカルがそんな素晴らしい歌唱を披露している間は控えめなギターも、歌が引っ込むと同時にドキがムネムネするピロピロタッピングや、やたらプログレッシブなギターソロを披露したり、もう曲に隙という隙がないですね
しかし三部作という割に、詩の主人公が前曲のチャラ男から全力少年になっとるんですが......まあこれが人間が持つ多面性ってやつさ

11.feel the wind ★★
ボーカルのyasuがリスペクトしてるというL'Arc〜en〜Ciel。そのラルク屈指の逢いたくて逢えないナンバー「DIVE TO BLUE」が逢いたくて逢えなくて揺れまどうけれど目覚めた翼は消せないという極めて難解な心理状態に陥るのに対して、この「feel the wind」は逢いたくて逢えなくて君の幸せだけを願うという、シンプルに男の鑑であるところを見せつけたナンバー
そんな詩はかっこいいけど全力で売れ線ポップス狙いにいったぜ!な曲が微妙。大仰なストリングスアレンジに漂うエイベックスポップ感。全く風も感じない

12.Shining ray ★★☆
タイアップ元を意識したのか、麦藁帽子を被ったゴム体質の青年が青空の下を全力疾走してるような絵面が浮かぶ、詩も曲も極めて健全な疾走J-POP。どうせEDアニメーションは、曲が進むにつれて一人一人仲間が加わっていって最後はみんなで一緒に走るようなありがちEDなんだろ? 見なくても容易に想像がつくぞフジテレビよ
前の曲といいここまで大衆向けポップ化が進むと、無駄に上手い演奏も相まりyasu+スタジオバンド感が出てきてJanne Da Arcである必要性を感じなくなってきた
ギターの小気味よい仕事とかは好きですけどね
それにワンピースの歌っつったらウィーアーしかありえないよなぁ!?

13.マリアの爪痕 ★★
久しぶりにヴィジュアル系に回帰したJ(anne Da Arc)-POP
前半の楽曲群と比べるとだいぶメタル成分薄まっててずい分と普通のダーク疾走曲、どちらかというと形式美を尊重しているようです
しかしジャンヌがそれやるとただのザ・V系っぽい曲

14.霞ゆく空背にして ★★★
近所のイケメン兄ちゃん達がバンド組んで1stシングル出したぜ是非聴いてみてくれ感ある14thシングルのイケメンポップロック。歌メロは青春パンクっぽい
ヴィジュアル系のジャンルにソフビ系というのがありますがまさにそれ
明るい曲調で別れを歌うってのは11曲目と共通してるけど、こっちのが男らしさとバンドらしさがあって好きっす
歌モノにしては短めでさっさと終わるのも気持ちいい
どうでもいいけどこの曲のc/wのanswerがジャンヌで好きな曲トップ5に入るくらい気に入ってるんですがあまり共感されない

15.Rainy 〜愛の調べ〜 (Single Version)★
ラストに相応しいハートフルな歌謡バラード
† 愛の調べ †とかぼくの中学二年性をくすぐるタイトルなのでスーパーメロスピ疾走曲を期待してたのに、泣けよベジータと言わんばかりのエイベックスサウンド響くあざといバラードで肩すかし
子供の声でラララコーラスとかベタすぎて今日日ポップシンガーでもやらんぞ

Disc2
1.餓えた太陽("SINGLES"MIX) ★★☆
アコギの情熱的なリフレインによるフラメンコパワーと、ジャンヌの持つヴィジュアル系歌謡パワーがはじけて混ざった面白くもない曲
何となくスルメ曲っぽい感じもするので暇があったら聞き込みたいっす

2.Legend of〜(BONUS TRACK) ★★★
インディーズ時代からあった曲らしい
ピアノを基調にした穏やかな聖歌風白系バラード
しかしyasuさんは通常運行でエッチな詩を歌っているため聖歌じゃなくて性歌になってる、なんてこともありません
壮大すぎるきらいもあるけど15曲目ほどではないですね
ダレそうだけど、サビになるとシューゲイザーちっくな轟音ギターが微かに入ってきたり、その先にはドマチックなギターソロも待っていたりと飽きさせない
もう5日後に迫ったクリスマスに1人分のチキンとペプシコーラを用意して聞きたい

総評 ★★★
よく三大バカテクヴィジュアル系バンドと言われるジャンヌ、シャム、ラクリマの中でジャンヌだけは売れ線ポップスすぎるというマイナス固定観念により、中学二年生スビリッツを持つぼくは何となく敬遠してたのですが、ぶっちゃけ後期シングルはそんな観念を持たれてももっともな売れ線ポップスが増えてます。そういう曲は嫌いじゃないけど好きでもない
といってもシングル曲だけの話なので、カップリングやアルバム曲は最初から最後までかっけーロックナンバーが多いっすよ(そのことに気づけたのはジャンヌが解散してからだったんですけどね......)!
いやどのバンドもファンは大抵カップリングのほうがかっこいいって言うけど傍耳から聴くと大してかっこよくねえ捨て曲って場合がほとんどですが、ジャンヌに限ってマジです。ガチです。本当です。ジャンヌファンでないぼくが保証します!
もちろんこのシングル集もいい曲多いよ、と一応最後にぼそりと言っておく。何だかんだでぼくがジャンヌで一番好きな曲は大衆にかなり歩み寄ってるシルビアですからねえ

DEZERT/タイトルなし

2nd

1. ----
禍々しいスローな鈍重ベースと不安を煽るボーカルにより悪魔召喚儀式的様相を持った暗黒導入部

2.「嘔吐」★
前の導入部がそのままテンポアップしてボーカルがデスヴォイス&シャウトで発狂、したと思ったらまた導入部に戻った
曲数稼ぎはやめて潔く一曲にまとめようぜ

3.「殺意」★
超シンプルな歪みに歪む重低音リフをバックにヴォーカルがさづい゛さづい゛デス濁声で叫び散らすヴィジュアル系ハードコア
と思わせてといてサビになるとクリーンボイスでキャッチーになる予想ももちろん裏切らない
もうネオV系では手垢のつきまくったヴォイヴォイ→キャッチーサビの曲ですがだいぶパンク寄りで若干新しい
それでも無駄にキャッチーにならず最後までさづい゛!さづい゛!連呼してたほうが、「量産型の音楽を金に変える君〜」なんちゃら皮肉に歌ってるけどこの曲自体が量産型じゃないんか?あん?とケチつけるぼくにまで殺意が伝わってきていいと思います

4.infection ★★
お経歌唱法パートや貴様ら頭を振れい!と言ってるような退屈縦ノリヘヴィリフ&デス声パートを交えつつも基本的にダークかつキャッチーな聞きやすいヴィジュアル系ロック
にしてもせっかくの良メロのサビなのに後ろがやかまし
演奏いらないからアカペラで歌ってくれたほうがよかったです
infection-acoustic ver-がいつかカップリングかなんかで出るの待ってます

5.胃潰瘍とルソーの錯覚 ★★★★
タイトル的に奇抜な文学ロックを期待したけど通常運行ディルのFILTH的食人エログロな詩世界
かといってこの手の曲にありがち狂気演出シャウトデスヴォイス連発アギャギャギャパートは全くなく、ノリのいいバッキングに乗せてボーカルが猟奇的な詩を美しいと言っていいほど何一つ濁りがないクリーンボイスで全編歌いあげてます
Bメロの「右腕のジュース♪右足のパスタ♪右目入りゼリー♪(超ポップ)」のマジキチクラシカルな盛り上げから、ファルセットが冴える切ないサビへのもって行き方なんて完璧パーペキパーフェクト
演奏も前曲と違って歌をひきたてる程度に抑えた控えめヘヴィなものなので、ボーカルの最高に光ったメロディセンスと歌声を堪能できるぜ

6.「擬死」★★★
底無しの闇へ向かう螺旋階段を降りていくような恐ろしいイントロで幕を開け、その後度々曲調を変えてブチ切れ発狂パート、ディルアングレイの何かで同じようなメロディを聴いたことがあるような気がするけど多分気のせい荘厳パートを挟みつつ展開していくヴィジュアル系プログレッシブスラッジドゥームヴィジュアル系メタル
そしてようやく曲が終わったかと思うとまたイントロが始まりおよそ6分間聴き手にトイレに行く暇を与えてくれない
大作志向も結構ですがまだ発展途上な感じ
もうアルバム5枚くらい出した後にセルフカバーしたら、ディルのウロボロスの曲群にも負けないくらいの名曲になりそうなポテンシャルあると思います

7.さぁミルクを飲みましょう。★
歪んだ禍々しいアルペジオの上でボーカルが周囲の誤った自分への解釈に怒りの炎を静かに燃やすスローバラード
ぼくにしてみれば何かと耳が痛いし何の起伏もなくだらだらと5分以上続くのでしんどい

8.「軽蔑」★★
めちゃくちゃベタなギターイントロで始まり、やはりベッタベタなポップス的展開を見せるヴィジュアル系切なめポップチューン
詩なんてド普通な失恋風だし、演奏も今までの重さや歪みはどこへいったのか、ボーカルのV系特有ナルシストボイスがなければてめーらバンプオブチキンですかと問いたくなるほど超軽快&爽やか
毒にも薬にもならない!と一蹴したいのですが、今まで猛毒といっていいような曲ばっかだったのでめちゃめちゃ薬になってます

9.doze.★
蜉蝣のXII dizzyからキレをなくした感じの変態発狂ヴォイヴォイチューン
個人的に最近うんこのキレが悪いのですがこの曲でますます悪くなる

10.脳姦少年 ★★
狂気演出レロレロ歌唱するボーカルと、パーティーチックに派手なサウンドをかき鳴らす楽器隊の頭の出し合いが中々かっこいい哀愁変態レトロック
でも後半は詩は相変わらずマジキチだけど胸きゅんしちゃうような切ないJ-POP風に
この曲もどことなく蜉蝣のかほりがただよふ
ボクトキミトキミトボクノセンソウ♪のとことかボクヲスキニサセチャウカラネ♪ボクトコウビ♪思いだしちゃいましたよ

11.「教育」★★
劈頭第一に「お前が嫌いさ」と叩きつけられそのままひたすらボーカルに嫌われるサビで急にキャッチー曲
ゴリゴリ単調リフに変態声で「キョォーイク」のとことか「嫌いさぁ〜」のとことかライブで客と一緒に歌って一体感を得ようとしてんのが見え透いてきます。きっとアンコールの定番曲でさぞかし盛り上がるのでしょう。というわけでCDで聴いてもイマイチな曲なので、ぼくは行かないけどみんなDEZERTのライブに行きましょう!
にしても後半いきなり蜉蝣ライクな曲が増えましたね
DEZERTに限らずこういうエログロ変態根暗曲をやるヴィジュアル系が最近増えてる気がするのですが、改めて大佑のカリスマ性を思い知らされました
蜉蝣してえよ......

12. -26時の冷凍庫-
ほとんど気色悪い楽曲ばっかだったのに最後だけやたらと美しい浄化END。雨音とピアノでしっとりしたラスト。
いいですね、はい..........................................ってなげーよ!面白いフレーズでもないんだから1分くらいで終わってください!

総評 ★★
ディル、蜉蝣あたりの系譜にあろうエログロックバンドDEZERTの2ndアルバム
ボーカルの声とメロディセンスはめちゃくちゃ好みでした。それ以外はいまいちでした
けれど新ギターも加入してこっからどんどんかっこよくなっていくと思うので来月の3rdはそこそこ期待して待ってます

BAROQUE/PLANETARY SECRET

3rd

1. PURIFY ★★★
「夜空に広がる星々を人々の生命の光になぞらえ ひとりひとりの魂こそが この世界を想像するうえで必要不可欠な唯一無二の大切な存在である。」
このアルバムのテーマらしい。何言ってんだこいつという冷笑こそが、CDを入れて実際に楽曲を耳にする前の私の率直な感想である。
だが私はこの曲と邂逅したその瞬間から今回は調子を改めなければならないと感じた次第だ。
彼らが真っ向から魂を剥き出して聴者と向き合うならば、わたしもまた諧謔、磊落な道化の仮面を捨て向き合わなければならない。
数少ないこのブログの読者よ、「そうやって堅苦しい真面目ぶった態度をとっておいてからのふざけた態度で笑いをとろうとする汚い手法はお前の十八番じゃないか。そんなもん飽きたしそもそもつまんねーんだよ、騙されないぞ」とお考えなのではなかろうか。
purify【動詞】
1…を浄化する;…から〔…を〕取り除く〔of〕.
2…を精錬[精製]する.
3〈罪など〉を清める;…の罪[汚(けが)れなど]を除く.
4〈人・物〉から〔罪・不純物などを〕取り除く〔of, from〕.浄化する, 清める
私はBAROQUEの洗礼により清め改めれたのだ。少なくともこの作品が私を包み込む39分2秒間はこの調子を崩さない。

2. PLANETARY LIGHT ★★★★★
度々このブログで取り上げているヴィジュアル系に限った話ではなく、このご時世、絶望、孤独、疎外感、鬱、痛み、苦しみ、負の感情云々云々といった厭世的なものを売り文句にした歌は国内外問わず腐るほど存在する。
まあこれらのテーマは曲にちょいとした深みを与えたり、いんちき占い師のお言葉よりバーナム効果的簡単な共感を得られたりするので持て囃され、むしろ近年音楽においては名盤であるがゆえの条件的なものとさえなりつつある。
勘違いしてもらっては困る、それらを虚偽だとか浅薄だとか偽物の絶望だとかと断定するつもりはない。皮肉が効いてしまったが私はこのようなテーマを掲げた音楽も好むし、中には真に自身の内部からの深刻なる発露を音に込めて発したものもあるだろう(とりあえず音に込めて発するだけの余裕はあるのだけれど)。
さて、長々と述べ立てたがそろそろこの曲「PLANETARY LIGHT」の話をしよう。
微々たる鈍い光を放つギターが遠い彼方で奏でられていたかと思うと、ボーカルの「wake up dreamy special life」の合図ともに、正に幕開けといったスケールを持つ宇宙のコーラスの中へ我々を迎え入れる。まるで見えてないだけで周りに存在していた星々が一斉に瞬き出したかのようだ。
何も難しいところはない開かれた快美な演奏と曲調の中、ボーカルはただ優しく呼びかけ続ける。
「wake up dreamy special life everything's gooona be alright(目覚めよう夢のような特別な人生へ 大丈夫全ては上手くいくから)」
この実存に向かった生の喜びを聴者の全身に浴びせかける楽曲は、前述した絶望の歌と全てにおいて対極に位置している。
太宰治の「晩年」の中の葉にこんな一節がある。
「安楽なくらしをしているときは、絶望の詩を作り、ひしがれたくらしをしているときは生のよろこびを書きつづる」
なるほど、この一節は真に正鵠を穿った寸鉄言ではないか。
ダウナーな詩と曲調で歌われる安易な絶望の歌は、まあネットでくだくだ自己主張はできるくらいの、生活現象における沈んだ気分を歌っているのかもしれないが、歌ってる当人もその聴者もちょいその絶望に酔いしれた後には今日の夕ご飯を何にするかのほうが重要であるようなお手軽インスタントな絶望の歌でしかないのだ。
対して、太宰が言うところの「生のよろこびを書きつづった」楽曲がbaroqueの2人によって結成されたkannivalismの旧譜heliosでは多く見られた。
タイトル曲のhelios、先行シングルのlife is...etc...
これらはいずれもポジティブな詩と曲調ではあるのだが、確かにどの曲もその奥からひっそりと顔をのぞかせている「ひしがれた暮らし」、諦念に近い真の絶望が垣間見えてしまう。
私はそこに恐れ入り、以来baroque、kannivalism両バンドに魅力されてしまったのである。
当楽曲「PLANETARY LIGH」はどうだろうか。純然たる生のコーラスの中にそういったものを見出すかは聴者各々の判断によるだろう。
ただ厭世的感情に支配されてしまったときに、この曲は世にあふれるインスタントな絶望の歌よりよっぽど心に深く訴え働きかけ、ひいては絶望に満ちた希望の涙を流させてくれるのではないだろうか。

3. DREAMSCAPE ★★★★★
眠れる夜などに、暗闇の中ふと宇宙という未だ未知の、無限大である存在と自分という一個の存在を対比し、いかに小さな存在であるかを思い知り、果てはそれが昂じた挙げ句に生と死の問題に移っていたり、この世界や死に対して言い知れぬ深い恐怖を味わう経験はないだろうか。
そんな夜はこの曲 「DREAMSCAPE」を聴くのがいいだろう。
BAROQUEは宴を始める。 静謐ながらも感極まった宴である。ボーカルは我々に舞踏への参加を促す。 衆生からの、共に存在する美しい恒星達に向けての感謝の舞踏だ。
エキゾチックなコーラスも入り宴へはたけなわに達する。おお、この広がる天体達の前に出れば我々の実生活の煩憂など瑣末たるものじゃないか。偉大なるものへの畏怖の先にある解脱、涅槃。さあ、授かったものを謳歌しようではないか!

4. CELEBRATE ★★★☆
多くの生ある者は周りに祝福されて生まれてくる。偉大なる者も。罪ある者も。
しかし、中には呪われ、忌み嫌われて生まれてくる不幸せな子どももいるだろう
BAROQUEの「CELEBRATE」は無償の愛をもって全てを祝福する。
その哀れな子どもも、呪った者も、忌み嫌った者も。
人類よ、我々が生まれてきたときに涙を落とすその本当の所以を見つけるためのヒントは、この曲にあるのかもしれない。

5. SKY WALKER ★★★
我々は自在に空を飛ぶ空想を一度はしたことがあるのではないだろうか
だがいつしか我々はそんな空想をする間もない社会に身を投じ、例え翼ををはためかせ自在に宙を泳ぐ鳥達を見て、かつての自分の空想を思い起こすことがあっても荒唐無稽なものでしかないと一瞬後には頭の外から放り投げてしまうだろう
さあ、今こそ目を閉じよ
そんな我々の手をそっとひいて、限りなく続く夜空へと導いてくれるのがこの「SKY WALKER」なのである
たった2分半であるが、私は確かに空を歩いていたのだ

6. SWALLOW THE NIGHT ★★★★
「静寂を切り裂く青い月」と詩にあるとおり、これまでのアンビエント、ミニマルの雰囲気は保ちつつもギターが静寂を切り裂き、このアルバム唯一ロックらしいロックが展開される。
安息の静寂を切り裂いてまでBAROQUEが伝えたかったものは何であったのか?
この曲は疾走ロックならぬ追想ロックなのである。
ほとんど永遠に続くとも言える天体の運行の中で、有限の我々が歩んできた、はたまた先回りしてこれから歩むであろう時代。その中には手足をばたつかせたくなるような悔恨、胸の詰まるような憂愁を含む「胸を刺すmemories」、または二度と帰らないことに嘆きつつも知らず知らず自身の支え、糧となっているような幸福の喜びを含む「心を癒やすmemories」もあるだろう。そんな星のように散らばる無数の記憶の数々をBAROQUEと共に追想するだ。
だからなんだ?結局何を伝えたいのだ?と問われればぐぬぬとしか返事ができないのだが、 とにかく追想するのだ。もう一度言おう、追想するのだ。

7. SILENT PICTURE ★★★
連綿と続く我々の記憶の断片「 SILENT PICTURE 」、追想は記憶のより深層にまで及ぶ。
そこにあったのは愛への渇望。
先回りしてしまうが、BAROQUEは続くラスト二曲でこの曲への解答といったようなものを暗示している
だから今は作品で唯一陰りを見せるこの曲へ想いを重ね、思う存分自己の思い出に浸るがいい!涙を流すがいい!

8. ORIGINAL LOVE ★★★★
男女のフェチプレイのひとつに「赤ちゃんプレイ」なるものがある。
>・多量のスポーツドリンクを飲ませたりしてそのまま失禁させる。
>・短時間に何度も排泄させ、訓練で頻尿状態にする。
といったWikipediaでその項目を流し見しただけで吐き気を催してしまう内容なのだが(そもそも何故そんなことまでご丁寧に解説しているのか、恐るべしWikipediaである)、今回は一見きちがいにもみえる、このプレイを求めるに至った男性の心的過程に注目してみようではないか。
いや、ひとりひとり過程の分析を連ねていったら某新興宗教会長の著作より巻数を要する文量となるので、この際過程などすっとばそう。
それはとりもなおさず母性愛の渇望に全て帰着するのではないだろうか。
私はこの曲によって自分が赤子のようになり、母なる根源的な「ORIGINAL LOVE」に包まれる不思議な陶酔感を味わった。なんという心地良さだろうか。同時に母なる者からの愛の渇きに心が疼き始めた。
今や私は母性愛を求めて上記のスカトロプレイに身を堕する者を馬鹿にできなくなってしまった。かといって、私は彼らのような奇行に走ったり、またはマザーコンプレックスに陥ることはないだろう。BAROQUEが私の母親となったのだから。必要とあらばこの「ORIGINAL LOVE 」に抱かれるだけだ。

9. MEMENTO ★★★★★
夕闇に暮れつつあるような寂然とした様相ながらも、「ORIGINAL LOVE 」でも癒すことのできなかった聴者の孤独にそっと寄り添い、魂を撫で慰めるようなイントロでゆっくりと曲は始まる。曲が進むにつれ、次第に愛は深く込められていきボーカルは既に慈しみすら感じさせる神々しい歌声をみせているではないか。
大いなる自然の息吹ともいえる轟音とともに曲調は一変、ほとばしる「生」の礼賛、その後のギターという一個の弦楽器を通じて、言葉なくとも何かを大いに語る弦楽器の調べは必聴である。言葉なしに語ったところを言葉にするのは野暮なので、是非その耳でこの声に耳を傾けて欲しい。
私は気づいた。前曲のORIGINAL LOVEheliosmumでは綾瀬はるかの乳房に包まれるような母性的愛を与えてくれたことはheliosを聴いた者、またこのブログの数少ない読者ならば覚えておいでのことだろう。
だが、この楽曲 :「MEMENTO」で提示された愛は、さらに包括的な、偉大なるものであり、我々が今足で踏んでいる大地からの、地球という星からの愛に満ちているのだ。溢れる愛の泉は何者も拒まない。
この19世紀ロシア文学にも似た精神を持つ「MEMENTO」は、今日も匿名大型掲示板 :2ちゃんねるにて、とうていこの記事では公にできないような中傷的書き込みや自演をして自己嫌悪に陥っている醜悪で卑劣な私にすら光を投げかけその広大な懐で抱きしめてくれるのである。
今、私の目からは涙がとめどなく溢れている。私は大地に接吻をした。

総評 ★★★★★
間違いなく21世紀という歴史に刻まれるであろう本作は、前作と違って大した宣伝もされずひっそりと産み落とされた作品である。
確かにその難解さ(こんなことをいうといらぬ不満をかい揚げ足を取られることになるのかもしれないが)から簡単に人に進められるような作品でもない。
そしてもしこの作品を手にしてもいまいち魅力を感じられなかった聴者よ、案ずることはない。この作品は諸君らの人生の歩みと共に経年進化していくものだ。だからいつまでも手元においておくといい。
だが作品も終わり、私はどうしても自分のこの調子にもちこたえられなってきた。あまりの臭みに我ながら辟易し、おちんちんが痒くなってきた。これにて筆を置き失礼する。

People In The Box/聖者たち

4thシングル

1.聖者たち ★★★★★
一年程前、深夜アニメをぼーっと横目で流しつつ、大人のサイトを巡回しながら揺れない偽乳とあざとい喘ぎ声ばかり発する女優にうんざりし、それでも下半身は正直になりながら言い知れぬ虚無感におそわれていた (もちろん賢者モードになる前の話である) ぼくに衝撃が走った。
その破壊的に歪み掻き鳴らされるギターのイントロ一つでして、ぼくの目と耳をXVIDE●Sからテレビ画面まで持って行き、その後すぐ様前へ出ててきて複雑怪奇なフレーズをブリブリ鬼のように弾き倒すベースラインが醸し出す異様ともいえる張り詰めた緊張感に耳は釘付けである。後ろで美しくも不穏な音色でアルペジオを奏でるギターも、曲にさらなる退廃的美、デカダンさを添える。まるで深夜の町を虚ろに徘徊しているかのようだ
そんな下手なグランジドゥームメタルなんて目じゃないくらい冷たく重く陰鬱な雰囲気から解放され、一転して賛美歌のように美しい様相を見せるサビ。もう今までの展開だけでも十分にこの曲に魅せられ虜となってしまっていたぼくに、そこではさらなる追い討ちが待っていた
「また空っぽな明日は 限りなく黒に近いグレイ 何かにもなれずに 限りなく黒に近いグレイ」
ボーカルが少年のような無垢で透明感のある声で、それでいて冷酷ともいっていいくらいの殆ど感情を表さない調子で虚無に苛まれているぼくの心境を全くそのままさらりと歌い上げたのだ!
その夜のぼくは村上春樹以上に文学的射精を経験したのではないだろうか
最初はdeadmanの再来かと思わせるその独特な雰囲気のダークさからヴィジュアル系かと思ったら残響系のバンドでびっくりぽん
音楽でここまで心にガツンときたのは久しぶりでした!

2.あなたのなかの忘れた海 ★★★★
前曲の暗い雰囲気を継承しながらも、張り詰めた空気が弛緩してメロウで温かみのあるバラードに
無機質だったボーカルにもぬくもりが宿り、「全ては作り物さ それでも生きていくのさ」と達観しながらも前向きに歌いつつ「海へ行こうよ」と招き続ける。それが何故か真夜中の海へ入水自殺しにでも誘ってるかのように聞こえてしまうところがみそ
ところでVo&Gtの波多野氏のルックスは髪型だけならサーファーなのに顔立ちは文学的、といった風つきである。この曲「あなたのなかの忘れた海」は、曲や歌声だけなら海のような偉大な優しさに満ちているのに、一部のサウンドと詩の節々からは憂愁と空虚の印象を受ける。このような点でこの曲は彼、波多野氏自身に似ているのかもしれない
それから引き続きグルーヴ感たっぷりで多端なプレイをするこのベースラインも、曲のほの暗さに一役かっているのではないでしょうか
ともあれ穏やかな波のように優しいギターのリフレインにより、心は洗われていきます

3.天国のアクシデント ★★★
ドラムのハイハットが延々とチキチキ繰り返してるおかげで、自分でも何を言ってるかわからないがベースがドラムよりドラムの役割をしてる摩訶不思議な曲
そのベースも無機質に同じフレーズを曲中ずっと刻み続けてて何だか異質な空間に迷い込んでしまったようです
加えてゆらゆらとしたエフェクトがかかった透明感あるボーカルの甘い歌声により、所謂シューゲイザー系バンドでいうところのトリップ感を味わえること間違いなし
サビになると今まで不明瞭にたゆたうようだったギターが緊迫感あるフレーズをいきなりくっきりとリフレインさせたり、曲と全く不調和なはずなのに妙に癖になるヘイッ!(棒)のコーラスが入ってきたり、.....とまあごちゃごちゃ書いたけどこ、これがぽすとろっくってやつたべか...

総評 ★★★★★
どの曲も現時点でアルバムには未収録なのですが、3曲だけでもフルアルバム1枚に匹敵する密度
このシングル1枚のせいで彼らの出したCDを全て買い揃え、2014年の後半から2015年はPeople in the box一色でした(おかげでDevelop one's facultiesのアルバムがヴィジュアル系熱を再燃させてくれるまではV系からはほとんど遠ざかってました)。
ドハマリするきっかけとなった「聖者たち」のような感じの曲は他の作品に見つけることができなかったのですが、もう波多野といえばAV女優の波多野結衣じゃなくてPeople in the box波多野裕文!ってくらいには信者っす