Laputa/眩めく廃人

1stミニアルバム

1. 泥〜IN BOG…IN WORST〜 ★★
まどろみの中にいるような心地良いSEに身を委ねていると...

「目覚めよ我が体内に眠る廃人よ」

これを中学生に聞かせてしまった場合、一体何人の邪気眼が発動してしまうのか、文部科学省のほうで是非とも統計を取って欲しいものである
それはおいといて、楽曲自体はおそらくVo.akiが泥水の中にコンタクトレンズを落としてしまったときの心境をそのまま歌に込めたミディアムテンポの発狂チューン
泥の中を探せば探すほどほど水は濁り、コンタクトレンズまでタドリツカナイ!!タドリツカナイ!! ミツケラレナイ!!ミツケラレナイ!!
悲しみをハイトーンシャウトでひたすら叫び散らし、全身泥塗れになりながらも必死に探し続けるaki。
しかし悲しいかな、結局コンタクトレンズは見つからず、ついに彼は泥濘の中でインバッ!インバッ!っと意味不明のことを供述するだけの廃人となってしまう。他のメンバーがその四肢を悲しげに運び去っていくかのように、曲は静かにフェードアウト

2. Insatiable ★★★
1stからの再録
邪悪に歪めたハードロック風リフが唸りを上げ続ける、ミディアムテンポの名古屋系ロック
何よりB...L...I...SS...の文字をなぞる謎のカウントダウン式ボーカルが、嫌でも脳内にこびりつく。そう、例えるならこの曲は、ヴィジュアル系界においては一般ポップス界における「Y.M.C.A.」に位置する曲なのだ。
しかし再録前と比べると不満な点が多い。
キンキンに歪んだ害音リフが大分おとなしめに抑えられたてり、
セリフ「毒を持って毒を制す」の台詞が丸々削除されてたり、
ビー...エル...アイ...エスエス(廃人風)→最後にはビィ゛...エ゛ル゛...ア゛イ゛...エ゛ス゛エ゛ス゛(吐血風)というメフィストフェレスの所行をなぞるにも等しい展開が若干わかり辛くなってたり、
と、中途半端に分別を身につけたのか落ち着いた再録で気に食わない
こっちもこっちでかっこいいんだけど様式美と中学二年性は再録前のほうが遥かに上なので1stも買おう!

3. an eternity ★★★★
全編サビとも言っていい、ただでさえハイトーンな声質のボーカルが転調しながらメロディアスに夜風をきり駆け抜けて行く!
お父さん!お父さん!Laputaが僕を苦しめる!と、そう、例えるならこの曲は、ヴィジュアル系界においては一般クラシック界における「魔王」に位置する曲なのだ
あと少し...あと少し違えばこの曲は天使のような白い羽を舞い散らして疾走する美麗白系ナンバーになっていたに違いない
だが通り過ぎていったのは一陣の闇...Laputaは堕天する道を選んだのである...
ファラーウェイッ(ファサァッ、と最初は美しく艶のあったボーカルも、曲が終わる頃にはフ゛ァ゛ラ゛ァ゛ウ゛ェイ゛ッ!!と発狂。
ヴィジュアル系よ、これが真の「狂気」だ
安易に単調マイナー調ヘヴィリフにシャウトデスヴォイスで狂気演出する最近の有象無象のバンドはこの楽曲を666回聴いて出直してきて欲しい

4. Vertigo ★★★★★
1stからの再録
Laputaの同期バンドのROUAGEに白い闇という楽曲があります。確かにあれも名曲だけど曲自体は普通に真っ白、真に白い闇とは「an eternity」やこの楽曲のことをいうのだよ
硝子細工のように繊細で透明ながら、やり所のない苦しみを訴えるボーカル。さらにギターは今までも度々見せ、いや魅せてきた、病的な美しさを持つ蠱惑のアルペジオを惜しげもなく披露。ここにあるのは一本のギターのはずなのに聴覚が歪んで二本に聞こえてしまう。すなわちVertigo。眩暈(めまい)。
例え聴者が健康な状態にあったとしても、この楽曲に身を晒せれば、まず手始めに視界は歪み始め、次第に身体はぐにゃりと力を失い、6分の後には既に廃人と化してしまっているであろう
この一曲でして退廃美、デカダンを極めつくしてしまい、もはや音楽というよりは「眩暈」という概念に近いですね

5. 奈落の底 ★★★★★
超単純なコード進行、それでいてヴィジュアル系最凶のリフという、
そう、例えるならこの曲は、ヴィジュアル系界においては一般ロック史におけるSmoke on the Waterに位置する曲なのだ。
その凶悪リフと、キャッチーながらも要所で発狂シャウトすることは忘れないボーカルがファストテンポでひたすら畳み掛け、我々は天空の城Laputaから深淵へと落下していく。
後半のオチル..オチル......オチル...........ウォッオヂルヴヴヴヴヴ!!!!!!!!の叫びなんて、その後のギターソロを完全に食っちゃってるよ
そして終わったかと思えば1曲目のSEが流れ始め......、これならリピート再生させとけばゆりかごから墓場まで聞き続けられるよ!やったねたえちゃん!

総評 ★★★★
このミニアルバム一枚にヴィジュアル系とは何ぞやかが凝縮されていると言っても過言ではない一枚
こういう楽曲って時を経て改めて聴くと稚拙と一蹴してしまうか、腹を抱えて笑ってしまうことがほとんどなのですが、おそらくこの「眩めく廃人」は70歳の爺さんになってから聴いても、我が体内に眠る中学二年性を呼び戻してヘッドバンキングさせるに違いないでしょう