Janne Da Arc/SINGLES

ベスト

Disc1

1.RED ZONE ★★★☆
初っぱなから演奏陣がハードでメタリックな重低音でゴリゴリ押し寄せてきてその重厚さに胸焼けしそう。ジャパメタ炸裂ヘヴィリフとパワフルなドラムでボーカルが入る前から畳み掛けられました
こ、これ本当にエイベックスでのメジャーデビュー曲なんすか...?エイベックスどころかメジャーな様相すらほとんど見せてないヘヴィメタルじゃないっすか(ガチ震え声)
ボーカルが入ってきても、声質はイケメン体操のお兄さんみたいな感じで取っつきやすいんですが、媚び一つ、ポップさは一つくらい見せるものの暑苦しい熱唱で全く隙がない
ジャパメタ独特の古臭さがあって個人的にはあんま好きじゃないんですが、そもそもエイベックス系バンドでそんなもんがあること自体異常っすよ
「ジャンヌとABCはカラオケで歌うとキャバクラの女の子の受けいいぞモテるぞ」と友人に言われて、そんな機会はないけど何となくにやにやしながらベストに手を出したぼくに怒りの鉄槌をくだすハードチューン

2.Lunatic Gate ★★★★
サウンドだけならやはり恐ろしく重く分厚いミドルテンポのジャパニーズヘヴィメタル
でもこっちはボーカルにクサメタルやアニソン風味のメロディアスさがあって前の曲より断然聴きやすい。
ゴリゴリ行進するようなリフを刻んでたギターも、ソロになるとヘヴィメタの範囲内に収まる程度の適度にメロスピ風ピロピロを披露してて、重さと哀愁さが柿Pの種とピーナッツばりの黄金比率で形成されてる
それから前の曲といい、日頃のストレスをここぞとばかりに発散させてるかのようにバゴスコいわせてるこのドラム。普段ドラムなんて耳に入らないぼくのJ-POP耳にも無理矢理踏み込んでくるあたりやっぱジャンヌはメタルバンドっすねえ
何てったってタイトルが† Lunatic Gate †ですからね。この化石ヴィジュアル系でもつけないようなタイトルセンスからしてぼくはやってくれると信じてた。流石ヴィジュアル系の最終兵器!

3.EDEN 〜君がいない〜 ★★★★★
白い羽が舞い散るようなスローバラード風で幕に開けたかと思えば、いきなりバンドサウンド全開のサビで始まるという、わかる人ぞわかるヴィジュアル系の超古典的展開をなぞった神曲
もちろんそんな古き良きしきたりなんぞ知らなくても、このボーカルのyasuと一緒に駆け出したくなるような躍動感がすごいサビでエイベックスボーイズ&ガールズのハートも掴むこと間違いなし
ようやくぼくがジャンヌのイメージに当てはめていたポップさが出てきました
そんなぽっぴんじゃんぷなサビももちろんいいんですが、やっぱりこの曲全体に漂う白系ヴィジュアル系ともいっていいくらいの驚きの白さが素晴らしい
ギターソロなんてラルクを彷彿とさせる耽美さと繊細さで、今までの男臭いジャパメタスピリッツはどこへ行ったのか、サナトリウムの病弱少女のような儚さですよ
Stranger(このアルバムには未収録)みたいに技術でブイブイ言わせるだけじゃなく、ムード作りもアリエールでしょとyouさんが主張した一曲

4.Heaven's Place (Single Edit From"D・N・A") ★★★
前の曲の世界観を引き継いだ心暖まる白系バラード
異国情緒通り越して天国情緒なギターだったり、鐘っぽい音色のキーボードだったり、lalalalalaのコーラスだったり、もうJanne Da Arcのメンバーがぽこちん出したエンジェルとなって全力でヘヴンを奏でてます
アルバムで聴いたときはいい曲だけど7分とかタルすぎィ!3分でまとめろやと停止ボタン押すこともままあったけど、このシングル集で前の曲と合わせて聴くと、世界観にあった素晴らしいバラードだなぁと心ぽかぽかいつまでも曲にひたっていたくなるから曲順って大事だわ(もちろんD・N・Aの世界観も素晴らしいですし、音楽通の方はこのシングル集なんかよりそっちをお勧めします)。

5.will 〜地図にない場所〜 ★★
同じバラードでもこっちはちょい暗めってくらいであとは普通のJバラード
力強いボーカルは好きだしサビもフックはあるんだけど、切ないだろ!切ないだろ!と後ろでドヤってるやかましい壮大シンセがあざとくて嫌い
でもSOPHIAとかが内省的でちょい哲学的な詩つけて歌ってたら間違いなく★★★★★とかつけてたと思うしやっぱ詩って大事だわ(恋や愛を馬鹿にして来たぼくなのでジャンヌダルクファンの皆さん許してください!)。

6.Mysterious ★★★
タイトル通りミステリアスを醸し出すキーボードがかっこよく、これなら金田一少年の事件簿の主題歌にもなりそう
というわけで同アニメ主題歌のLaputaのmeet againをメタルアレンジしてやったぜ感がある楽曲
メロスピの如くギターをピロピロいわせてたり、ツーバスが爆走してたり相変わらずメタルバンド・ジャンヌダルクを炸裂させてるんですが、もっと簡易な演奏でよりミステリと艶めかしさを魅せてるLaputaのほうがかっこいいから雰囲気って大事だわ(注:個人の好みです。ぼくのことは嫌いになってもLaputaのことは嫌いにならないでください!)。

7.Dry? ★
勘違い男ありがち「今回は女性の気持ちになってみました(o^ ^o)」的気持ち悪い詩が、そこそこかっこいい楽器隊を台無しにしてるシャッフル調のロック
しかも「全てを濡らして」だと「イカせて!すぐイカせて!」だの「乾いてるのはそっちじゃない」だの欲求不満な女性の気持ちっすよ。勘違い通り越して無限の彼方に飛び立ってるわ
こんなんカラオケで歌ったらドン引き確実カカオリッチココアぶん投げられるレベルな気がするんですけど本当にモテるんですか? キムタクや福山雅治でも許されないと思います
ウッフ〜ンとか言いながらくねくねしてる後期河村隆一なら許される

8.NEO VENUS ★★★★☆
クールで淡々としたボーカル&演奏なんだけど物凄くポップというアイスリーム天ぷらみたいな摩訶不思議な曲
キーボードの人が作曲しただけあって、もちろんキーボードが水際立ってます
特にBメロのタイアップ元のロックマンエグゼ的電脳感漂う音色&フレーズに謎の中毒性が。合わせてヘヴィながらも軽快に刻まれるギターとの絡まり合いっぷりは、冷静なロックマンと熱い熱斗君の関係を表しているに違いない
加えてそのギターとキーボードがユニゾンするソロなんてマジソウルユニゾン!フルシンクロじゃないっすか!最高!
もうロックマンエグゼ愛に満ちた最高の曲ですね(実際はファンに向けての感謝の気持ちが込められた曲だそうです)。
しかしエグゼ1から6まで全部やり込んだぼくでもこの曲の存在は知らなかったっす。ていうかエグゼのサントラ再販してくださいお願いします

9.seed ★★★
ここからの3曲は恋愛3部作という設定なようで、その始まりを告げる片思い&口説きナンバー
ボーカルのyasuがリスペクトしてるというL'Arc〜en〜Ciel。そのラルク屈指の片思いナンバー「flower」は顔が青白い文学青年のウェルテル式憂鬱を見事に表現し、触れたら壊れてしまいそうな儚い雰囲気だったのに対し、この「seed」は計算高い女に慣れたチャラ男が主人公らしく、だいぶオラついてて既に賢者モードの如く乾いた雰囲気
こんなんヴィジュアル系じゃなくてホストだ!と思ったけど、こっちを聴いたほうがモテる男になれそうな気がするのでこの曲を聴きながらキャバクラに突撃してこようかと思います
ストーリー仕立ての詩が重視されてるようで、演奏はそこそこハードながらもボーカルをひきたてるためかジャンヌにしては控えめ
ちなみにこの曲からラルクのプロデューサーで有名な岡野ハジメさんがプロデュースしてるみたいです

10.シルビア ★★★★★
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛甘ずっぱいんじゃあああああああああああああああと涙を流して叫びたくなる、青春の1ページを切り取ったように爽やかでまぶしいシンフォニックメロディクスピードポップメタル
い、いかん......こんなもう爽やかって言葉じゃ足りないくらいの光を浴びちまったら、陰湿根暗なぼくは浄化され最後には素粒子まで分解され消滅してしまう
もうイントロからしてデート前の高揚感、胸の高なりが伝わってくるよ(デートをしたことがあるとは言ってない)
サビになるとタイトルコールからこれでもかってくらいの超高音ファルセットを披露するのですが、これが隣で笑顔を見せる女の子への抑えきれようのない純真な愛のほとばしり!って感じでもうたまらんね!(もう一度言う、デートをしたことがあるとは言ってない)
それから「恋や愛を馬鹿にしてきた僕だから」って詩がボラギノールよりぶっ刺さる
ボーカルがそんな素晴らしい歌唱を披露している間は控えめなギターも、歌が引っ込むと同時にドキがムネムネするピロピロタッピングや、やたらプログレッシブなギターソロを披露したり、もう曲に隙という隙がないですね
しかし三部作という割に、詩の主人公が前曲のチャラ男から全力少年になっとるんですが......まあこれが人間が持つ多面性ってやつさ

11.feel the wind ★★
ボーカルのyasuがリスペクトしてるというL'Arc〜en〜Ciel。そのラルク屈指の逢いたくて逢えないナンバー「DIVE TO BLUE」が逢いたくて逢えなくて揺れまどうけれど目覚めた翼は消せないという極めて難解な心理状態に陥るのに対して、この「feel the wind」は逢いたくて逢えなくて君の幸せだけを願うという、シンプルに男の鑑であるところを見せつけたナンバー
そんな詩はかっこいいけど全力で売れ線ポップス狙いにいったぜ!な曲が微妙。大仰なストリングスアレンジに漂うエイベックスポップ感。全く風も感じない

12.Shining ray ★★☆
タイアップ元を意識したのか、麦藁帽子を被ったゴム体質の青年が青空の下を全力疾走してるような絵面が浮かぶ、詩も曲も極めて健全な疾走J-POP。どうせEDアニメーションは、曲が進むにつれて一人一人仲間が加わっていって最後はみんなで一緒に走るようなありがちEDなんだろ? 見なくても容易に想像がつくぞフジテレビよ
前の曲といいここまで大衆向けポップ化が進むと、無駄に上手い演奏も相まりyasu+スタジオバンド感が出てきてJanne Da Arcである必要性を感じなくなってきた
ギターの小気味よい仕事とかは好きですけどね
それにワンピースの歌っつったらウィーアーしかありえないよなぁ!?

13.マリアの爪痕 ★★
久しぶりにヴィジュアル系に回帰したJ(anne Da Arc)-POP
前半の楽曲群と比べるとだいぶメタル成分薄まっててずい分と普通のダーク疾走曲、どちらかというと形式美を尊重しているようです
しかしジャンヌがそれやるとただのザ・V系っぽい曲

14.霞ゆく空背にして ★★★
近所のイケメン兄ちゃん達がバンド組んで1stシングル出したぜ是非聴いてみてくれ感ある14thシングルのイケメンポップロック。歌メロは青春パンクっぽい
ヴィジュアル系のジャンルにソフビ系というのがありますがまさにそれ
明るい曲調で別れを歌うってのは11曲目と共通してるけど、こっちのが男らしさとバンドらしさがあって好きっす
歌モノにしては短めでさっさと終わるのも気持ちいい
どうでもいいけどこの曲のc/wのanswerがジャンヌで好きな曲トップ5に入るくらい気に入ってるんですがあまり共感されない

15.Rainy 〜愛の調べ〜 (Single Version)★
ラストに相応しいハートフルな歌謡バラード
† 愛の調べ †とかぼくの中学二年性をくすぐるタイトルなのでスーパーメロスピ疾走曲を期待してたのに、泣けよベジータと言わんばかりのエイベックスサウンド響くあざといバラードで肩すかし
子供の声でラララコーラスとかベタすぎて今日日ポップシンガーでもやらんぞ

Disc2
1.餓えた太陽("SINGLES"MIX) ★★☆
アコギの情熱的なリフレインによるフラメンコパワーと、ジャンヌの持つヴィジュアル系歌謡パワーがはじけて混ざった面白くもない曲
何となくスルメ曲っぽい感じもするので暇があったら聞き込みたいっす

2.Legend of〜(BONUS TRACK) ★★★
インディーズ時代からあった曲らしい
ピアノを基調にした穏やかな聖歌風白系バラード
しかしyasuさんは通常運行でエッチな詩を歌っているため聖歌じゃなくて性歌になってる、なんてこともありません
壮大すぎるきらいもあるけど15曲目ほどではないですね
ダレそうだけど、サビになるとシューゲイザーちっくな轟音ギターが微かに入ってきたり、その先にはドマチックなギターソロも待っていたりと飽きさせない
もう5日後に迫ったクリスマスに1人分のチキンとペプシコーラを用意して聞きたい

総評 ★★★
よく三大バカテクヴィジュアル系バンドと言われるジャンヌ、シャム、ラクリマの中でジャンヌだけは売れ線ポップスすぎるというマイナス固定観念により、中学二年生スビリッツを持つぼくは何となく敬遠してたのですが、ぶっちゃけ後期シングルはそんな観念を持たれてももっともな売れ線ポップスが増えてます。そういう曲は嫌いじゃないけど好きでもない
といってもシングル曲だけの話なので、カップリングやアルバム曲は最初から最後までかっけーロックナンバーが多いっすよ(そのことに気づけたのはジャンヌが解散してからだったんですけどね......)!
いやどのバンドもファンは大抵カップリングのほうがかっこいいって言うけど傍耳から聴くと大してかっこよくねえ捨て曲って場合がほとんどですが、ジャンヌに限ってマジです。ガチです。本当です。ジャンヌファンでないぼくが保証します!
もちろんこのシングル集もいい曲多いよ、と一応最後にぼそりと言っておく。何だかんだでぼくがジャンヌで一番好きな曲は大衆にかなり歩み寄ってるシルビアですからねえ