amber gris/AROUND CHILDREN

2nd

1.Fragile ★★★★
kaname作曲。
ワーミー、フランジャーっぽいエフェクトの効いた怒涛のイントロからいきなりかっこよすぎて濡れた。
前作のpomanderとは何だったのか。ようやく元の路線に回帰&進化してくれたamber grisが放つクールな疾走ロック。
楽器隊はストレートですが、ボーカルは鬱々しくどこか息苦しさが感じられ、うむ、これはRuvieのnameless songを超えたわ。
そこから開放的に展開されるサビは詩のせいもあってか郷愁にかられ、思わず涙ぐましくなります。
この爽快感、アンバーグリス公式サイトの通販が600円も送料取ったくせに、何故か350円のレターパックでこのアルバムを送りつけてきたことに対する怒りを吹き飛ばしたぜ!
きっと消えた250円は、アルバムでちらほらテーマにされてる(気がする)恵まれない子ども達に募金されたものだと信じたい。

2.MARCH in the SNOW ★★★
wayne作曲。
どこかギターがUKっぽい、ミディアムテンポの陽気なポップソング。ベースも楽しそうに跳ねてます。
タイトルのMarchは国境とか行進のほうっぽいですけど、3月の意味も含まれてそうなほど春を感じられるうららかな曲調。
詩はそんな曲調に反して、発展途上国や紛争盛んな国の子ども達を描写した、かなりエグい内容です。ジャケットの子どもが浮かぶ。
つまりこの曲はダブルミーニング的テクニックが用いられた高度な曲に違いない!
アウトロが次の曲に合うように作られてるのも地味に気が利いてます。

3.bright or blind ★★★★
kaname作曲。先行シングル。
シングルらしいキャッチーなアップテンポのロック。
要所にファルセットを入れながらはきはきと歌い上げるボーカルもいいですが、アングリお馴染みのスマートな音使いで立ち回るギターが非常にかっこいいです。目まぐるしいほどに次々と畳みかけてきます。
特にイントロやアウトロでプッシュされてる、あずにゃんが弾いてるのかと勘違いするほど歯切れのいいバッキングに傲岸不遜ともいえるほど気高いリードが絡んだフレーズに圧倒された! あまりのかっこよさに震えた!
5分もあるけど体感時間は3分。

4.-sequel- ★★
kaname作曲
初期(ってほどの活動期間でもないですが)アングリワールドの庭園的オサレ精神を受け継ぐミディアムテンポの明るいロック。
散歩するかのように穏やかに前で鳴り続けるベースが心地いいです。
サビではそのポジションをギターが取って代わりますがこちらはちと単調かも。

5.そこにあるもの ★★★
wayne作曲
英字の曲名がずらっと並んだ中で一つだけぽつりと日本語タイトルの曲。それだけで名曲臭がするぜ。
そしてそんな曲名から大体どんな曲かも想像がつきますが、その想像を裏切らない柔和なスローバラード。そんな和やかさの中にも孤独や寂寥が含まれてます。
詩がこのアルバムのコンセプトっぽいメメントモリをより前面に押し出してるのでおそらくアンバーグリスにとって大切な曲となるのでしょう。
そう考えるとその割には平凡すぎる気もしますが。

6.Sweet blood pool ★★☆
kaname作曲。
ヘヴィなリフで攻めた、緊迫感のあるハードロック。ミクスチャーっぽさなんかもあったり。
それに物語調のえげつない詩を歌うボーカルが乗っかりアングリ独特のハードボイルドソングに。
その物語のシチュエーションに合わせたのか、結構お洒落な雰囲気もあったのに、サビは激しくも影を帯びて暗くなります。
それからグルーヴ感に満ちたベースが元sugarのベースの貫禄を見せつけてていい仕事してるんだなこれが。
まだ聞き込めてませんが中毒性ありそうです。

7.hermit. ★★☆
手鞠作曲。
陰気臭いボーカルが似合うミディアムテンポのロック。
クラシカルに弾かれ、そこはかとなくトラジェディを感じるギターが印象的。
グルーミーなベース、黙々と叩かれるドラムがそれに味を添えてます。
高音で英詩を呟くボーカルが所々でアクセントに使われてるんですが、それがあまり好きになれない。

8.グランギニョル ★★★
kaname作曲。
これまでと一転して疾駆する重いドラムとベース、ギターもオーバードライブ、一瞬まさかの発狂系ソングが来るのかと思いました。
しかしそんなことはなく、このまま疾走し続けるのかと思えばいつの間にかアングレッシブな縦ノリハードロックに。
ボーカルの歌い回しが多様でおもしろいです。吐き捨てるように歌ってるかと思えば得意のファルセット披露したり、デスヴォイスでのかけ声があったり。
グランギニョルとはフランスのおどろおどろしい芝居・見世物小屋の一つらしいですが、その様子を表現してるのかしら。
前作のAwake or sleepの正統進化系っぽい。
最後はテンポアップして激しさを失わないままfin.

9.amaryllis ★★★☆
kaname作曲。
あと一曲残ってますが、ラストっぽい若干の壮大さを持ったポップバラード。
このサビメロ、とりあえず一発でいい曲だと思わせるハートフルなメロです。
消沈したアコースティックな導入部分を経て、サビから始まる曲なのでなおのことインパクトが強い。
手鞠さんの慈愛に満ち溢れて、白系の曲ではないですが白がぼくを包み込み浄化してくれます。
どこか既視感もありますが、きっとアンバーグリス・オリジナル。 その曲は甘くてクリーミーで、こんな素晴らしい曲をもらえる私はきっと特別な存在なのだと感じました。

10.for crying out loud ★★★☆
wayne作曲。
このアルバムのスタッフロールって感じですね。というか本当にちょっち甘酸っぱい青春映画のエンディングかなんかをアングリ流にカバーしてんのかと思えるほど。
淡々とし、静かな夏の朝が脳内に展開されてしまうほどの表現力を持つ楽器隊と諦念したボーカルはサビに入ると一転、苦しげながらも激情がほとばしる!
これは歌ってるんじゃない、詠ってるんだ。(キリッ
詩も全編通して暗い詩が続きましたが「絶望の果てにも朝は来るんだ」との通り、ラストらしい前向きな終わり方です。最後は「きっと今、君は死にたいと願ってる」の詩句で終わりますが・・・。
前の曲に引き続き、少しだけベタな気もしますがアングリらしさもあるのでおおむねグッド。いい締めです。
余談ですが、今度出るV系オムニバスにこの曲が収録されるらしい。なるほど、一般の方にもアピールできる自信曲なのでょう。

おまけ.element or ARIA ★★★
会場物販と公式通販の特典。前作のelement of soulの再録。重苦しさはなくなりましたが透明感が増して幻想的な感じに。
いいリアレンジですけど2分半の曲ですし、680円プラスした価値(通販の場合)があるかと問われると微妙。

総評 ★★★☆
1stは幻滅しましたがこちらは最高! 早速2013年の名盤。
強いて不満をあげるならアルバムに入っていた告知に「公式通販限定でAROUND CHILDREN未収録、シングルCHILDREN+ 2/27発売!」(このアルバムのフラゲ日は2/26、それまで公式は何の告知もなし)
こういう告知はもっと早くしといてくださいよ。ただでさえ公式通販は250円水まゲフンゲフンッ、送料高いんですから。
しかもelement or ARIAに数に限りがありますと煽り、暗黙に予約&支払いを急かしておいてそりゃ卑怯だぜセニョール。
こんなことなら予約するんじゃなかった・・・。
まあヴィジュアル系はまともな売り方してるバンドを探すほうが難しいんですけどね。インディーズバンド適正価格でCD売ったのってdeadmanの1stが最初で最後じゃないっすか?そういや先日買ったMoranも・・・と不満垂れ流せばきりがないので、とにかくこれから買う人は公式通販でシングルとセットで買うのがおすすめdeath。

http://www.amber-gris.com/