Angelo/Retina

5th

1.PROGRAM ★★★★★
マーチングのようなドラムに合わせて、どこか懐かしみを持った風を感じるリードギターが徐々にフェードインしてくるという小粋な演出で始まり、そこから突然空気を切り裂くように現れた轟音ギターと共に炸裂するバンドアンサンブル
一瞬にして曲の世界へと連れていかれたぜ
にしてもここまで風を感じる曲は久しぶりである。久々に聴くキリトさんの伸びのあるボーカルから今までのAngeloではついぞ聴いたことがなかったドゴドゴハードに行進するドラム
そして何よりギターだよ! 詩はひたすら前を見据え、曲自体も近未来的ともいえるサウンドなのに、イントロでも出てきたまるでPIERROT時代を追想するかのようにノスタルジックで哀愁あるリードギターに胸が染み入っちまう。この感興は文字に表すことはできない!
この爽やかっぷりは何となくPIERROTのSUPER STRING THEORYを思い出しちゃうね

2.Calvary ★★★★
Angelo加入後初の自身作曲シングルということで、元D'espaisRayの貫禄を完膚無きまでに見せつけたKaryuさんのヘヴィネスなギターが冴え渡るメロディアスな疾走ロック
特にヘヴィメタロケンローしてる感あるAメロのギターは最高!Karyu降臨☆みたいな感じの単音ギターを散りばめ、歌詞の「深い風」どころかKAMIKAZEを感じるサビはもっと最高!
最初ボーカルが激しさを押し出すためか、所々にアクセントとしていれるシャウトが年取ったお爺ちゃんの痰吐きみたいでどうも好きになれなかったけど、何回も聴いてたらようやく慣れてきた
それでもキリトさんには悪いが、シャウトとかでハードさを出そうとするボーカルスタイルならディスパの歪さんが歌ったほうがかっこいいと思ので、激しくするにしてもその独特な声と表現力で魅せて欲しかったです

3.CONVICTION ★★
重厚な縦ノリギターリフをメインに押し出してるヘヴィロック
ひたすら重く激しく行進し、それにピアノをフィーチャリングしちゃったりしてるけど、キリトさん作曲にしては毒にも薬にもならないし変にKaryuさんに触発されたようなノリの曲
でもまあ前後のKaryuさんのシングル曲を繋ぎ合わせる重大な役目を任されてるんだから仕方ないよね

4.RIP ★★★
曲名からしてキリトさんの唇をドアップで映しつつ、メンバー達がくねくね踊りながら演奏するようなPVが作られてるセクシーさを演出してみました的キモ曲なんだろと思ったお馬鹿なぼくよ。唇はRIPじゃない、LIPじゃ。(因みにRIPは「安らかに眠れ」の意)
というわけで英検5級以下の英語力により例えそんな間違った先入観を持っていたとしても、それを一瞬にして一層するゴリゴリとメタル寄りのアプローチで疾走するギターで幕を開けるヘヴィロック。
だがしかしサビに向かうにつれてそのメタルギターが引っ込んで、キレイめになっていくから残念無念キリトさんの唇を眺めてたほうが面白い

5.SANDS OF TIME ★★
所謂「静と動を使い分けた」ヘヴィロック
ちょっとだけ出てくるやたらと仰々しい劇的ゴシックなキーボードかなんかがいいスパイスになってるくらいで後は平々凡々

6.Flashback ★★★☆
カニックな金属電子音が冴えたミディアムテンポのインダストリアル風ロック。
ここでようやく一発でキリトさん作曲だとわかってしまう、ただのヘヴィなバッキングなのに何故か変態的な趣が出てしまうギターが登場してぼくは嬉しいです
PIERROTのFINALEでも見せたこの古代文明的というかオーパツ的世界観が男のロマンをくすぐってていいんだなこれが

7.Arès ★★★
ラウドではあるものの、めちゃくちゃ哀愁メロディアスなギターにピアノという超くっさくっさコンボのイントロで始まった割に、こぢんまりとした伴奏をする演奏隊
それが途中で再び勢いを取り戻してひたすら疾走。そして曲中一度だけ顔を見せる、そう、まるで雲間から差した光から教祖キリト様が舞い降りてくるかのように、輝きが満ち溢れる超美麗バラード風展開が挟まれる
こんな展開にあわせて恥ずかしげもなく、天地創造がうんたらとかカタストロフな詩を歌えるところがクリエイティブマスター・キリト感があって一部狂信的なファンを生み出す要因の一つなんだろうな

8.Script error ★★
途中まではシリアスなハードロックって感じでよかったのに、サビになると緊急事態発生!みたいな感じのヘヴィリフに合わせてキリトさんがシャウト連発しながら暴れまわる攻撃的な捨て曲に
単調とまではいかないのですが、Karyuさん作曲にしてはギターにあまり魅力を感じない
それからキリトさんそんなシャウト連発しちゃっていいんですか?比べちゃいますよ?比べちゃいますよ?
ということでエフェクトかけてごまかしてますけどディスパの歪さんと比べてしまうと月とすっぽん。というか比べなくとも、個人的にキリトさんのシャウトは上手い下手は置いといて、オラついたチンピラのような小物臭がして声質的に苦手っす

9.事象の地平線 ★★☆
PIERROTのHEAVENに入っててもおかしくない、楽園的世界観の浄化バラード
温かみのある曲調の中で所々で入ってくる電子音声も壊れていくこの世界で感があるよ
やっぱキリトさんはこういう綺麗系のボーカルで真価を発揮しますね。曲はそんな好きじゃないですけど

10.Reflect ★★★☆
「Karyuだけじゃなく俺だってメロディアスでかっこいい一般向け曲作れるんだからな!」とキリトさんの主張が聞こえてくる自身作曲の疾走ロック
この手の曲としては5分超と長めですが、それを感じさせないほど鮮やかに気持ち良く駆け抜けます
当然のことですが曲が進むにつれて盛り上がり、エモくなるサビでは「反射するぅ!」と日本語でですがタイトルコールするのがいいね!
他にも「君だけは守ろうと決めた」とかさらりとかっこいいこと言ってのけるキリト様に股間がウェット待ったなし

11.シナプス ★★★★
何故Karyu氏のサウンドメイクとギターの音色、その奏でるメロディラインは、これほどまでに冷めた現代の人々の心に訴え働きかけ、火を灯し、熱く鼓動を高鳴らせることができるのか
D'espaisRayのTRICKSTeRでほとばしった情熱の調べを今再びここで鳴らす、まさに聴者の小宇宙が燃え上がること間違いなしのメロディアスなナンバーである
それだけに、途中までギターの熱量には負けるも力強いボーカルを披露していたキリト氏は、何故ルットゥ〜ッン♪ルットゥトゥ〜ンッ♪(割と野太い声)と本人はふざけているつもりはなくとも、やはりどこかふざけた印象を与えるまっちょしぃなコーラスをラストに入れてしまったのか。非常に残念でならない
ついでにいっておくがやはり英詩シャウトもノーサンキュー
まさに白璧の微瑕である

12.Retina ★★★★
ギターの二人はアイジさんと潤さんになっちまったのかと思うくらい、 もはやキリト節というよりはPIERROT節が炸裂してるミディアムテンポのインダストリアル風変態ハードロック。加えてPIERROTよりは大分音に厚みがあり、ヘヴィネスさがあるので正当進化してます
この似非科学的というかなんちゃって理系というか、とにかく機械的なギターリフがたまらないっす! エフェクトがかかったがなり声のボーカルも曲にさらなる無機質な効果を生み出しててマジメカニカル
普通のバンドであればラストに相応しい曲とは言い難いハードでぶっ飛んだ曲なのですが、何故かしっくりきてしまうのはデビュー作をFINALEを題したり、ラストシングルでHELLOとか挨拶しちゃうひねくれ者のキリトさん系バンドならでは

総評 ★★★☆
世界観や曲がぼく個人がPIERROTで一番好きなアルバムであるHEAVENと似ているのでとても好みのアルバムでした! むしろHEAVEN聴いたときよりヘヴン状態です!
ただKaryuさんの曲はディスパでやったほうがもっとかっけーよと思えるものが多かったのも事実
そこらへんのキリト×Karyuの均衡が取れた時、Angeloはさらなるモンスターバンドと飛躍するのであろう...
既に曲が良質であることに違いはないけれど、キツく言うなら違いのわかる男の大沢たかおでなくても作曲者の判別が容易くできちゃう、それって1つのバンドとしてやってる以上どーなのよって話です
そういう意味でも1曲目のPROGRAMだけは完璧だった