the GazettE/STACKED RUBBISH

3rd

1.ART DRAWN BY VOMIT
どぎついお香を焚いた古着屋でかかってそうなヒップホップSE

2.AGONY ★★★★
ボーカルのYO-YOと激しいスクラッチ、ヘヴィネスなギターリフから始まる、これまでのガゼット、いやヴィジュアル系とはひと味違うぜを見せつけたヴィジュアル系DQNヒップホップ
ヒップホップ自体はbaroqueが先にやってたけど、こっちはナルナルネチネチボーカル、メタルチックなギター、とガチヴィジュアル系を融合させてるからガゼリティあるよ
本格派を愛する怖い方からは「こんなんカマくせえ!偽物だ!ごっこだ!」と怒られるかもしれませんが、このあくまでインドア系が無理やりやってるような強面オラつきっぷりがいいんですよ
ヒョロヒョロ文化系のぼくもちょい不良ぶってみたいときに聴きたくなります
その一方でペルソナ3の戦闘曲にでもなりそうなオサレさもあるからタマンネェYO!パネェ!

3.HYENA ★★★★
ヴォイヴォイ→クリーンのディルが完全に確立しきった黄金比を忠実に守った王道ナンバー
でもメタルコア系ではなく普通の疾走ロックだし、ヴォイヴォイがラップ調だったり、サウンドの要所にヒップホップ要素を散らしてるあたりやっぱりガゼリティあるよ
そしてここで長くなりますが告白させてください
今でこそぼくはヴィジュアル系に入れ込むきっかけを周りには
「え?そりゃもちろんLUNA SEAのSTYLEだよ。ん?曲?いや俺音楽は曲単位じゃなくてアルバムで一つの作品として判断してるからね。で、話は戻るけどもちろんMOTHERも名盤だけどさ、俺はあえてSTYLEを推す。まずあのポピュラーに見せかけたアンポピュラーが云々云々...」
と吹聴してますが、白状すると本当はこのガゼットのHyenaです
当時クラスで流行ってた修二と彰Aqua Timezを聴いてた平和な僕に「は?何この曲?早いッ!速いッ!やべェ!やべえェ!何このギャーーーって叫ぶの?シャウトっていうの?ヴォイヴォイしてる!地元じゃ負ける気がしねェ!これがデスメタルか!でかした!」とHyenaは聴覚を駆け抜けて大脳皮質に入り込み噛みつき荒らしたのである
さらにメンバーの画像を見てそのヴィジュアルに圧倒され、次の日ぼくは髪を逆立て母親の化粧バッグから取り出したものを適当に顔に塗りたくり、鼻に布を巻いて学校へ向かったのであった......(この物語はフィクションではありません)
さらにその後ガゼットがネットでパクリ!パクリ!と騒がれてるのを知り、彼らからもらった感動と興奮をなかったことにして元ネタであるというディルのアルバムを買いに走り、挙げ句の果てに同調してガゼットはパクリ!糞!とアグレッシブなネットの民と一緒になって叩いた後日談はなかったことにしておいて欲しいけど、この場を借りて謝罪すると共に自分の好きなものには嘘をつかないことが大事だと反省します
しかしそんな思い出と共に今聞き返してみると何か微妙なんすよね
当時はボーカルばっか聴いて楽器隊なんてほとんど耳に入ってない純J-POP愛好者だったせいもあるのかもしれませんが、それでももっとかっこよかった記憶がある
リフはこんな生ぬるい重さじゃなくてもっと重厚でソリッドだった気もするし、デスパートのボーカルはもっと凶悪、クリーンもナヨナヨせずもっとデスとの対比が映えて美しかったような...思い出補正って恐ろしい
でもイントロとラストの福士蒼汰の笑顔並みに爽やかなギターが入ってラップ調で現音楽シーンを罵るところは今聴いても最高にCOOL。超巨大オマエガイウナーブーメラン投げてる気もするけどね

4.BURIAL APPLICANT ★
PVありのリードトラック
申し訳程度にヒップホップ要素を入れようとしたのかイントロだけターンテーブルが入ってるけど、後はディルのOBSCUREから和と禍々しさを抜き、大分スケールダウンさせたような中途半端に綺麗になったり激しくなったりするナンバー
に加えて歌詞カードに、このPVはヤヴァいですが犯罪をなくすための意識が込められてるだかなんだか書かれたチラシが入っていたので、どんなもんかと全裸待機したのですが全く大したことなくて肩すかしをくらった
これもOBSCUREのPVくらいぶっ壊れてなきゃクレームなんてこないから安心していいと思うよ

5.ガンジスに紅い薔薇 ★★☆
シャッフルリズムのガンジスのように乾いた感じのロカビリー調ロックに、紅い薔薇の如く刺があり美しいボーカルという中々タイトルに忠実な曲
しかし美人は三日で飽きるというように、この一本の薔薇にも三分で聴き飽きてしまう
ぼくは美人のほうは三日では飽きないので橋本千年さんみたいな方がいましたらどうかお付き合いお願いします

6.REGRET ★★★★
金八先生ガゼットファンの生徒が登場したときに使われた挿入歌
武田鉄矢ガチアンチのぼくは金八先生を一度も見たことないので詳しくは知らないけど、ガゼットはあまり良い描写をされなかったらしく、ファンのバンギャル達が激おこプンプンでHPや出演者のブログに突撃したとかしないとかいう曰く付きの曲
曲自体はクランチの効いたギターと、吐き捨てるようにクールに歌いながらもどこかノリのいいボーカルがイカしたきゃわいたきゃぜをきゃらませあなたを連れていきたくなるガレージ風疾走ナンバー
ギターソロもかっこいいですが、それ以上にその後のもうどうにでもなりやがれ感があるヤケクソパンキッシュなボーカルがかっこいい

7.CALM ENVY ★
女性コーラスがあざとい泣きメロバラード
ガゼットの売れ線系バラードに関しては、これは昔からぼくの琴線に触れるものはないので下手に糞味噌にけなすよりはノーコメントで通しておきますが、Cassisとか好きな人なら気に入るんじゃないっすか(鼻くそほじくりながら

8.SWALLOWTAIL ON THE DEATH VALLEY ★★
賑やかな女性コーラス&軽快なギターのバッキングでひたすらノリのいいドライヴ感のあるロック
ボーカルも声質はともかくいつになく陽気
このアメリカンな雰囲気が最初はいいけどギターソロが終わったあたりから飽きてくる

9.MOB 136 BARS ★
一辺倒なヘヴィリフ&シャウトデスヴォイスで叫び倒すデスメタル風のヴィジュアル系王道捨て曲
こういう曲にこそ中途半端でいいからヒップホップやR&Bの要素入れてくださいよ

10.GENTLE LIE ★★★☆
ボサノヴァまでとは言わないけど落ち着いたブルージーな一本のギターが入るだけでここまでアダルトでオシャンティーな雰囲気になるのか
ギターの主張が静かなのでその分ベースラインも際立ってて、影ながら屋台骨を支えるそのいぶし銀な仕事に気づき、ついカフェでコーヒーを啜りながら鼻に布巻いて聴き入りたくなりますね
これが大人のガゼット

11.FILTH IN THE BEAUTY ★★★★★
地味に前の曲からの流れがいい
女性ボーカルのハウス風シャレオツの導入部からヘヴィネスなギターが炸裂すると共に、ガゼットヴィジュアル系R&Bの始まりだ!
キレイめR&Bパート→男らしいコーラスとヘヴィなリフをバックにホンニャカコンニャカするヒップホップBパート→純粋ヘヴィネスヴィジュアル系Cパート→そしてより激しさを増すサビ
このサビなんですが、ボーカルがデス声とヒップホッパーのYo-Yoを何とか融合させようと頑張ってるのがよくわかり、ちょい稚拙な感じもするけどその努力を称えよう。これぞガゼリティだよ
アルバムの後半でやたら多用してる女性コーラスもあまり好きじゃないけど、この曲に限ってはマジ最高のスパイス
常にパクリパクリ騒がれてる彼らだけどこういう曲はガゼット創始者だよね......よね?

12.CIRCLE OF SWINDLER ★★★
マイケミカルロマンスチックなダークメロコアナンバー
日本人英語ならぬヴィジュアル系英語で唄う英詩がナヨダサかっこいいちゃかっこいいけど、このボーカルって英詩を歌うとなんか一気にキッズロックっぽくなるというか、小便臭くなるんだよねえ
色んな意味で日本語でおk

13.千鶴 ★
ミディアムテンポのパワーバラード
ひたすら鈍重ダウナーで聴いてると気が沈んでくる楽器隊の演奏を背にしてる割に、ボーカルは普通の売れ線バラードを歌う際と同じようにナルシスティックかつわかりやすい哀愁を込めて歌いあげてます
PVあるし映画のタイアップだったらしいしで、ガゼットを知らない一般の方にもちょっち迎合しようとでもしたのかしら
演奏も気が沈んでくると書いたけど重いだけでただただ単調だし、これなら前作のヴィジュアル系お得意デスパート→クリーンなサビの手法を見事にバラードに取り入れ仕上げてた「体温」のほうがよっぽどかっこよかった
だからこういう曲にこそヒップホップやR&B要素を入れてくれよ

14.PEOPLE ERROR
あれほどYO-YO言わせてたくせに最後は普通のピアノで綺麗に終わるんかい

総評 ★★★
色々と叩かれながらも今やヴィジュアル系界のトップへと躍進したガゼットの3rdアルバム
NIL路線の曲を完全に排除してとまではいいませんが、それらを踏襲しつつもっとYO-YOして欲しかったです
個人的にガゼットがオリジナリティを示し始めたのはこのアルバム、つまりこのアルバムこそが真の1stだと思いますね(キリッ
近年のアルバムは酷いことになってるみたいですけど......