SOPHIA/マテリアル

3rd

1. 大切なもの ★★★★★
初っぱなからやたらテーマが重い。よく眠れない夜なんかに、不意に色々な不安、喪失、無常心なんかに襲われ、それが懐旧を引き起こしたりしすることがあると思いますが、そのときの人間の心情を音と詩で適切に説明してくれるロックバラード。
ALIVEの頃よりさらに諦念した松岡さんのボーカル、やるせないギターリフと悄然たるキーボード?、重々しいベース、どれも死にてえ。
アルバムや曲名に著名な文学のタイトル引用したり、詩に難解な言葉並べるだけの衒学的なサブカルアーティスト共よ見習え!これこそ文学&哲学ロックだ!

2. 航海 ★★★★
メロウなアコギのリフレインと素っ気ないラインを奏でながらも耳に残るベースが、どういうわけか帆をあげ航海してるイメージを与えるミディアムテンポのロック。
曲自体はそうでもないのですが、後半入る粛々としたピアノとストリングス、それからボーカルが一貫してウィスパーボイスっぽい歌唱法でとにかくやりきれなさ、苦しさを表現してるのでかなりの鬱曲に。
失恋の後悔と航海をかけてる?

3. Place〜 ★★★☆
土砂降りの中で立ち尽したまま通りゆく沢山の人々を見てた曲キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
個人的に【人ごみの中にいる】、【雨の中傘をささない】シチュの詩が乗る曲は余程ひどくない限り無条件に名曲。これはなんと両方とも含まれてるんです!
それを抜きにしても一般受けを狙いにいったアッパーなバラードなので聞きやすいです。

4. せめて未来だけは… ★★★★☆
混沌としたサイケなアレンジが施されたポップス。いつになく元気に動き回るベースがかっこいい。
「一人で部屋でオナニーはしちゃいけない絶対」って、じゃあ誰とどこですればいいんですか!?
しかし、一見カオスに見える詩もよーく聴くとかなり鬱っすね。質実剛健を心掛け頑張ろう。といったニュアンスなのですが、サウンドのせいもあってどこか病的。「そんな歌聴いてなんか残るもんあんのか」というのはSOPHIAを聴くSOPHIAファンに向けられたものだとかなんとか。この話を聞いて一層SOPHIAの魅力が高まりましたよ。
まあ最後は「一度でいいからセクシー不二子と寝てみたいのさ」と叫んでで終わるあたり、つまり悲しき俺らに向けられた応援歌。

5. 黒いブーツ 〜oh my friend〜 ★★★
松岡さんの亡き友に向けられた鎮魂歌ということで有名。大衆向けポップスの裏に隠された真実!というのはいいものです。

6. take me away ★
ノイジーな捨て曲。

7. Birds eye view ★★
アコギメインの寒々しい雨の日バラード。
Placeは人ごみの中、雨に打たれても前向きな曲でしたが、こちらはそのままその場にへたり込んでしまいそうな弱々しさ。
飛べない鳥ってのがゴキゲン鳥と関係ありそうですがありません。

8. 言葉 ★★
穏やかで優しいアコースティックギター。その演奏に合わせてボーカルがチュッチュ言う半インスト的ポジションの曲。
ルームミュージックとしてならいいですね。

9. センチメンタリアン・ラプソディ ★★★☆
軽快なブリティッシュポップをノイジーにアレンジした楽曲。こういうのをダブっていうんですか。
おかげでかなりの名詩なのにサビ以外ほとんど聞き取れません。ちゃんとしたものも出して欲しいです。
たまにセンチメンタル、死にたくなるダメ人間はビューティフルと合わせて聞きましょう。

10. beautiful ★★★★★
厭世を感じさせながらもはっちゃけてて諧謔的な、デジタルっぽいグラムっぽいポップ。
巷で言われているとおり、とにかく詩が秀逸です。孤独で気弱な学生&社会人の周囲に対する憂鬱と皮肉、さらにそんな自分に対する皮肉というか。
「失恋だとか挫折だとか皆そりゃ楽しいそうね 平和で豊かでよかった」
なんてのは世間に対してもそうですが、このアルバムに対しての皮肉ともとれますね。
「死にたくなるほど嫌なことなんて一つもないぜ」と自分に言い聞かせているもやはり死にたくなっている、そんな曲。

11. 贈り物 ★
消え入りそうな儚いボーカルとサウンドのバラード。
嵐の前の静けさか。

12. material of flower ★★★★☆
表題曲。粛々と鳴らされるピアノと、意気消沈したギターリフが憂い、苦悶の印象を与え、聴者の心の琴線まで鳴らしてしまう重厚ロックバラード。
詩は別に唯物論ってわけではなく、失恋して孤独になった男がそれを機に深く深く内省していき一つの結論に達するみたいな。が、決して前向きなものではありません。前作のALIVEと違って救いがない・・・。
何だか一人取り残されてしまうような曲です。

総評
ALIVEは前向きな暗さでしたが、こちらはそのまま後ろ向きな暗さ。テレビで見るイケメンリア充松岡充が書いたとはおよそ思えぬ詩です。
ヴィジュアル系どころか邦楽史上五本の指に残る鬱アルバム、と勝手に認定させていただきます。ちなみに残りはイエモンのSICKS、筋少レティクル座で後の二つはまだ決まってません。