メリー/個性派ブレンドクラシック

再録混じりのインディーズベスト

1.チック・タック ★★★☆
再録。
冬の訪れを告げるミディアムテンポの郷愁ロック。 とうほぐあたりの小麦色の田園風景が浮かんできよっちゃ。ヴィジュアル系にこんな田舎臭いウィンターソングがあるとは・・・。
ギターソロの代わりのようなボーカルの口笛も雰囲気出してます。それからカッティングまじりの哀愁ギターがチクタク聞こえないこともないです。
地味ですが聴き込むと味わい深くなってきます。この時期(11月)にぴったり。

2.バイオレットハレンチ ★★★★
再録。
初期メリーの猥褻キラーチューン。詩はもう適当にノリで書いたって感じですね。
とにかく淫らで卑猥なリードギターが強烈、インパクト大、キモかっこいい。
構成も路地裏ロックなどろどろのAメロ、そしてパンキッシュなBメロを経て全裸で草なぎ剛と踊りたくなるようなお祭り騒ぎのサビ、という流れで非常にわかりやすい。
それからベースソロとギターソロの絡みが渋くてエロい。

3.ニヒリスティック ★★★☆
からっとしたロック。
タイトル通り虚無的、それでいてノリのいいバッキングと、れろれろてろてろレトロにリードするギターの組み合わせが独特です。
ボーカルはニヒリスティックな詩を投げやりに叫ぶパンクパートから、さらに諦念、虚無を前に出した歌謡曲へと自然に変化。
唯一の新曲ですが、他の濃い曲群にまったく負けておりません。

4.R-246 ★★★
ニューミックス。
国道246号っていろんな人がテーマにしてるけど一体何があるのですか。
OZAKI意識した、満たされない心にヌクモリティ(死語)求める昭和臭い哀愁歌謡曲。それにザクザクしたテンポいいベースがメリハリ与えてかろうじてロックにしてくれてます。
夕日を背にして悲しげに聴きたいですが、詩はどうやら明け方らしいです。

5.Arry ★★★
再録。
ハードなイントロとぐねぐね禍々重々しいギターリフから捨て曲臭するんですが、我慢してサビまで聴いてください。
いきなり悲哀たっぷりノスタルジック、キャッチーに。
後半の泣き叫ぶような大サビ「父よ!あなたはまだ僕のこと忘れてないですか!」なんかは心にまで響くぜ。といってもやはりサビ以外は「ボク『もうすでに自主規制が止まりません』ドクドクドク」だの「母『激しい上下運動少し控えなさい』」だの訳わからんこと喘いでるんですが。

6.琥珀色のバラード ★★
ニューミックス。
古臭すぎるイントロで思わず吹き出しました。そのまま全力で昭和を狙いにいった歌謡バラードへ。
もはやCDプレーヤーではなく、白黒テレビから流れてきそうです。

7.ビニ本2丁目八千代館 ★★★☆
再録。
政治色の強いひきこもり少年のオナニーナンバー。自分でも書いてて意味わかりません。
「セーラー服と染みつきパンツ 知恵遅れ気味のぼく」とか規制されそうでされない言葉選びがおもしろくもないですが、秀逸とでもいっておきましょう。
楽曲はスローで鈍重なロック。かといって退屈さはありません。精液のようにどろどろ、気持ち悪くにったりと笑ってるかのようなベースが全部持っていってます。

8.想ひでサンセット(デュエットver.) ★★☆
タイトル通り女性ボーカルとのデュエットバージョンになってます。でも女性のほうのボーカルが結構普通。どうせなら犬神サーカス団のボーカルでも呼んでどろどろアレンジにでもしてみりゃよかったのに。
曲としては6がポップで聴きやすくなり、オレンジの色彩が耳から目に頭に鼻に広がるロックバラード。

9.愛国弐〜マスラオ〜 ★★★★
せ、青春パンク。青春パンクといってもちょい昔の青春のようで、特攻隊になって散っていく青年達の儚さを前向きに歌ってます。 「死んでお国のためになれ〜」と叫ぶ恐ろしいほどにキャッチーなサビとかもうね。不謹慎極まりない。が、それがいい。
ラストの爽やかな大サビなんかはもはやカタルシスすら感じてしまいます。

10.愛国行進曲 ★☆
こっちは右翼ハードコア。歌詞が危険なためかほとんどシャウト、サビの「天皇陛下に万歳!天皇陛下に敬礼!」以外は何歌ってるかまったくわかりません。
それは置いといてもこういう曲は苦手です。

11.東京テレホン(ジャズピアノVer.) ★★
確か「はいからさんが通りすぎた跡」だかの一曲目を巻き戻すと再生されるとかいう、ややこしい仕様の音源だった覚えがあります。それが晴れて普通に収録。
そのまま大人しめにジャズピアノアレンジされてます。が、原曲を普通に再録して入れて欲しかったです。

総評
ベストですがオリアルとしても聞けます。初期の楽曲のため、詩が今とは違いネタに走り気味、名詩はありませんがこれはこれでおもしろい世界です。