SOPHIA/未来大人宣言

1. cod-E ~Eの暗号~ ★★★★
松岡充作曲
タイトルがまんま仮面ライダーなためか、バイクにまたがる仮面ライダーのマフラーの如き疾走感が得られる切ない疾走チューン。
Wはちょうどぼくが高校の頃やってたライダーで毎週見てたので何か懐かしい(本来の目的は後番組のプリキュアイース様でしたが)。これは映画だかOVAだかの主題歌らしいですけどね。
詩には「僕はここにいる」「青い季節」「未だ見ぬ景色」「青空の破片」など、中期SOPHIAの曲名が登場し、ファンをニヤリとさせたいのでしょうが、大体その頃のSOPHIAはファンの減少が著しかった時期らしいので久しぶりにSOPHIAを聴いた人には効果は今ひとつのようだ。
でもそんなファンサービスに気づかずとも中々いい詩です。あと一歩曲が渋けりゃ、子どもと一緒に映画を見にきたお父さんお母さんをファン層に取り込むことができたかもしれません。

2. -Can you break a hundred million?- ★
亀田誠治黒柳能生作曲
英詩と日本語を上手く組み合わせた詩がそこそこおもしろい。
サイケでヘヴィなぐねぐねギターがメインの、最近のSOPHIAには珍しい変態ロック。
マニアックなことやろうとしてんのはわかりますが、う〜ん、劣化HARD WORKER。
岡村靖幸にはかなわないね。

3. 月光 ★★★
松岡充作曲
華やかなギターが咲き誇るポップス。
日本女子駅伝のタイアップらしくSOPHIAがぼくらへ送る応援歌。サビの歌い出しの力強いボーカルなんかは勇気をもらえるぜ。
普通にいい曲。でもそう、「普通」にいい曲すぎて、なんて言ったらいいだろう・・・。
女性の言う「○○君っていい人なんだけど恋愛対象としては見れないんだよねー」もとい「月光君っていい曲なんだけど」的な。

4. サヨナラ 愛しのピーターパンシンド ローム ★★★★
岡村靖幸作曲
岡村ちゃん作曲ということで、「HARD WORKER」や「どぉなっちゃってんだよ」みたいなユーモア&おふざけ入りつつもギラギラかっこいいロックを予想してたんですが、アダルトな色気をむんむん醸したロックバラード。
ジャジーでしっとりしたピアノや渋いいぶし銀ギター、久々に楽器隊をかっこいいと思える曲なんですが、何より注目すべきは松岡さんのボーカル。いい意味でオッサンっぽくてクールかつ熱い!
ラストの「冷たい部屋に一人 孤独に耐える日々で〜」はパトスがほとばしる!! 思わず脳内に自分を主人公とした妄想PV作成して気怠げにソファに倒れ込み一人演技してしまいました(テヘッ
最初英詩部分がちょっと・・・と思ったんですがこれはこれでいい。
ジャニーズっぽいキラキラした楽曲が増えるSOPHIAですが、こういう年相応の曲をもっとやって欲しい。

5. mute reality ★
都啓一作曲
近年のSOPHIAにありがちな、一聴したときは「お、いい曲だな!」と思わせるも、2回3回と聴くうちにタルくなり味がなくなっていく、スルメ系ならぬガム系ポップス。

6. 人間失格
都啓一作曲
マテリアル以来の鬱ロック・・・なのでしょうか?
この鼻につく鬱はなんだろう。マテリアルの頃は病的な精神状態がまんま曲に反映されたような本気鬱でしたが、こちらは歌い方も楽器隊も「あー鬱だわー鬱だわー」周りに言ってるような、狙ってる感たっぷりあざとい似非鬱というか。
もうああいう曲はやれないんだなぁ、とこっちは別の意味で鬱になりましたよ。
詩はまんま人間失格の主人公のことを歌ってます。

7. rainbow rain ★★★☆
松岡充作曲
ミディアムテンポで軽快に進むポップバラード。 どことなくcali≠gariの冷たい雨に似た、切なさと温かさを同時に感じることのできるピアノ音色のキーボードが冴えます。この爽やかさはまさに雨上がりの虹です。都さん作曲かと思うほど。
松岡さんの包み込むような優しいボーカルもぼくらを浄化してくれます。

8. I will ★★
松岡充作曲
え〜、これシングルなんですか?
異国情緒というか、なんかモンゴルっぽいスケールのデカい晴れ晴れしたバラード。フルート?が羊飼いの笛って感じです。
これはガム系ではなく、スルメ系っぽいのでそのうちいい曲になるかも。

9. 雨ニモマケズニ ★
黒柳能生作曲
サビメロがモロBOØWYしてて古臭くもSOPHIAには新しいなんですが、それ以外は小綺麗にまとまってるし、楽器隊は2010年代、エイベックス系的音なので中途半端。

10. ヤングアダルト ★★★☆
松岡充作曲
グラビアが表紙を飾る週刊誌みたいな曲名なのでコミックソングかと思いましたが、普通にいい曲で吹きました。
最近のSOPHIAお得意人ごみに立ち尽くす系アップテンポの曲調で松岡さんがいいこと言うポップス。のびのびとしたギターが気持ちいい。
途中に入る「自分で言うのもなんだけど 相手に困ることはない 自分で言うのもなんだけど 欲しいものは手に入る〜」の叫びが熱すぎる!
相手には困ってて、欲しいものも手に入らないぼくでもなんか勢いで共感してしまいます。

11. 奏鳴曲 ★★
豊田和貴作曲
再び疾走ポップス。ですが最近の松岡さんは他のメンバー作曲の曲はメロも作詞も何か手抜きしてる感があるんですよね。決してそんなことはないんでしょうけど。

12. 未来大人宣言 ★★★
松岡充作曲
おお、ストリングスが入った。このストリングスはチエコキンバラさんの演奏じゃないか。僕にとってはDir en greyの蛍火以来です。
そんなストリングスとピアノがメインでバンドサウンドは稀薄。かといって聞かせる系、バラードではなく、『おかあさんといっしょ』の着ぐるみ淫獣達が出てきて踊り出しそうなNHK教育的ポップス。
詩は最近の松岡さんがずっとテーマにしてきたモラトリアムとその脱却へのアンサーソングもといアンサーポエムというか総括というか。4曲目よりサヨナラ愛しのピーターパンシンドロームしてます。
とにかくこの曲と共に一つのピリオドが打たれた感。そろそろ新しいSOPHIAが始まるのでしょうか。

13. happy birthday to you ★☆
松岡充作曲
前作のラストトラック楽園みたいな印象の薄いバラード。テーマ的にも前の曲で終わってよし。

14. W -SOPHIA ver.- (ボーナストラック) ★★
都啓一作曲
ボーカルに変なエフェクトがかかり、ものすごいこれじゃない感。
それからせっかくSOPHIAでやってんのに相変わらずシンセ多様、キラキラで楽器隊は大して違いを感じられず。
ボーナストラック扱いなのも納得です。
シングル買いましょう。

総評 ★★☆
久々のアルバムですが、相変わらずSOPHIAというより松岡充と愉快な仲間達。ソロ曲の「未来大人宣言」「W」のSOPHIA版を聴いて、その変化なさっぷり、「W」に至っては劣化ぶりに、改めてもう松岡充ソロでいいじゃんと思いました。これならTOKIOのほうがよっぽどバンドしてます。